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感想・小説編。

小説ツインシグナルVol.6 時の彼岸
What I did for Love

原作:大清水さち 著者:北条風奈

出版元:エニックス


TSノベライズ第6巻。今回は、小説版シリーズでは唯一となった短編集。原作コミックスでわずかに描かれたシーンを原典とした、登場人物達それぞれの「過去の物語」が描かれます。

ま、そんなワケで短編の回なので、他でやってるのと同じよーに各話毎での感想といきましょーか。や、この頃なんかそーゆーふうにした方がスゲェ楽だってことに気付きましてね?(←なんの言い訳だ)

まず第1話、「君と出会う」。若先生でなく、少年・正信とカルマとが出会ったときのエピソード。コミックス5巻で2ページ足らずしかない場面を元にしてるとゆー、なんだかチャレンジャブルな物語ですな(笑) …や、それを軸にふくらませて描くべき(描くことができる)描写その他は、そりゃこれまでに充分散りばめられてますけどねー。ソレはさておき。母親を亡くした傷痕の未だ癒えない、だけれどもソレを表に出さないだけの強さと賢さを”持ってしまった”少年の姿を、時折カルマ側の一人称と交錯させながら描いていくという、シリーズ既刊とは変えた描写によって、より巧みに心の揺れ動きを見せてくれてる感の強い物語になってますな。そーいやこの話、だいぶ以前に「正信が今と違って素直でイチバン目を惹いた」みたいな評価を友人からもらいましたが。考えてみりゃ作中時間で20年以上前の人間がまるっきり同じ性格してたらちょっとイヤだよなぁ(笑)

つぎ第2話、「さくらさく」。コードのエピソード、とゆーか、コードと細雪が中心となったエピソード。他と違い、コレだけは原作13巻収録の番外・前後編とゆーボリュームがありつつ、反対にそこの描写は減らして描くことで、より一層に「過去の物語」として広く・深く描かれた感じが大きいですねー。誰かを育み、そして失い、それでも強さを無くさずそこに立つ母・カシオペア博士、いつも側で寄り添ってくれ、だからこそ守っていこうとおのれに誓った妹・エモーション。世の流れが移り変わっても変わらず居続ける”家族”と共にあり、そうして長い年月を”生きて”きたからこそ、期待せざるを得ない間近に迫る”未来”のカタチ。原作の外伝に劣らず、コードの「歴史」を感じさせる短編になってます。あと余談なんですけど、この話を読んで以来、個人的にどーにも「細雪=妖刀」のイメージが強くなったりして。

第3話、「博士と天然お嬢様」。超ド直球なサブタイだなコレ(笑) これは原作6巻のおまけマンガを元にした、音井教授…もとい信之介しんのすけと奥さん・詩織しおりの新婚時代のエピソード。ぶっちゃけますと、収録作ではコレがイチバン好きですねー。とゆーのも、小説シリーズ中で最大級にコメディ要素が発揮された話だから(大笑) 年の差8歳の幼なじみ夫婦それぞれの視点からの新天地でのドタバタ生活を、終始コミカルに描いていくこの感じが、なんか単純に楽しいのですよ。つーか、この回は「あー、北条さんってこの手のラブコメ系もきっちり描けるんだなー」と、ヘンな感心を持ったりもしましたねー。や、毎度のナカミが筋書きのシッカリしたSFストーリー中心だからなー。ま、物語のアクセント(?)にSF要素を少々盛り込んでるトコなんかは、やっぱSF作家的な話の組み方だなー、とも思いましたけど。

ま、あとオマケの第4話もありますけど、これはコレでオマケ程度ってコトで。別に気に入ってないワケでもないけど、他のメイン収録と比べるとさほど語ることもないしなー。



▽自薦名場面 ― 198〜199ページ

 このまま行かせてなるものか。

 それこそ男が廃ってしまう!!

 信之介は詩織の両手をがっちり握ると、一息に言った。

 「結婚しよう」

 (中略)

 二人はがっちり手を取り合ったまま、寮の真ん中という往来で、互いに水掛け論――痴話喧嘩をくりかえした。

 「とにかく」

 信之介が詩織の手をぱっと離して、じいっと詩織の瞳を見つめた。

 「詩織は俺が嫌いか?」

 「大好き」

 「じゃあ、結婚しよう。今すぐに」

カバー折り返しの言葉を借りるなら、信之介が強引な詩織にプロポーズした(させられた)瞬間。中略はしない方が良かったんだけど、チョット冗長に過ぎる”きらい”があるので抜いといた。ま、ここの主なポイントは最後の掛け合いかなー。ハッキリ答えすぎだろ、嫁さん(笑) とにもかくにも、周囲の人たちを巻きこんだり巻きこまなかったりしつつ、ココに晴れてひと組の新婚さんが生まれましたとさ。



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2006/11/29