感想・小説編。

走れ! 神秘の大森林 新ソードワールドRPGリプレイ集7

著者:秋田みやび

出版元:富士見ドラゴンブック


へっぽこ冒険者リプレイの7巻。オーファンのお隣り、ラムリアースへの遠征で巻き起こるシナリオ3編を収録。つーか、今までファンの街の外に出た事は何度もあったけど、国外への旅はコレが初だってのは、だいぶ意外に感じるよなー。

てなワケで、シリーズ7巻を数えて初めて、シナリオの舞台に別の国(つっても隣国だけど)が登場した次第です。まぁコレ、意外に感じたのは上記のとーりですけど、その他にもオーファン国内がそれだけ色々と見所の多い地域だったんだなー、ってのも改めて思わされる部分ですねー。それに考えてみりゃ、元々このSWリプレイ各シリーズって、アレクラスト大陸の各国・各地域を案内及び紹介するワールドガイド的な要素も兼ね備えた文庫作でもあるハズだから、オーファンの国外をあまり取り上げようとしなかったのは出版元(ってよりはグループSNE側)の都合もあったのかもしれませんなぁ。私のうろ覚えな知識から引き出せば、大陸の”コッチ側”にはテンチルドレンを始めとしたアレコレ面白い場所が多いんですけど。でも、国内オンリーでもコレだけバリエーション豊かな冒険を創っていけているのを読むと、長い年月をかけて作り込まれてきたSWの舞台世界がどんだけのモノなのか、今更ながらに思い知らせてくれるよーにも感じます。

このへっぽこシリーズ含めて、いま現在までに出版してるリプレイ文庫も8シリーズくらいになってるハズだしなー、しかもコレでまだカバーしていない国家・地域だってあるんだし。”歩み”はナルホド遅すぎるトコロもあるかもしれませんが、こうも長らく楽しませる&楽しませようとしているソードワールドというTRPGシステムは、やはり自分にとっては不朽のスタンダードTRPGとして存在する作品なんですよねぇ。他にも多種多様のシステムは出版されてるし、それらはそれぞれに面白いコトも知ってるけど、やっぱり”基本”はコレなんだよなー、ホントに。

はて、なんとなくTRPG論議じみてしまいましたので、そろそろナカミの感想に移ろうと思うんですけど…やっぱ今回も、へっぽこ達はやっぱ変わらずへっぽこのまま、みたいなトコに落ち着いてしまいますな!(笑) いやー、彼らのレベルやこれまでの活躍を考慮したら確かに、お国からの依頼が舞い込んできてももう違和感だってないくらいにはなってるんですけどね、本来なら。でも、どーにもこーにも拭いきれない所帯じみたこの連中のおかげで、高額の報酬も国からの使者という立場も貴族からの晩餐会のお誘いも全部、足下が浮ついて落ち着かないとゆーか、なんか役不足してるとゆーか。まぁなぁ、普段はそれなりに冒険慣れしたパーティらしく振る舞ってるケド、ダイス目のせいとは言えダンジョントラップでウッカリ死に損なう始末だしなー。つーか、そのシーンの前に戦闘で超無駄なダメージもらってるヒースはボケ過ぎだわ(笑) それでも高レベルパーティのリーダーですかいな。セッションの進行とかは、20話なんかキレイな落とし所でウマくまとめてるとも思うんですけどねー。根底のへっぽこっぷりだけは、良くも悪くも不変だよなー。

あ、最後にですけど、本来であれば神聖な幻獣であるハズのユニコーンを、あそこまでイメージダウンさせたコイツら(※GM含めて全員はさすがに酷ぇと思った(大笑) オカシイなぁ、フツーのファンタジー作だったらユニコーンって清らかな存在なのになぁ。この本読んだ後だとロクでもない生物にしか見えなくなるゾ。



▽自薦名場面 ― 204ページ

 イリーナ 推定ダークプリースト兼ファイターを素手で殴り倒して獣性を満たし、月に向かって吼えたりしたあと、清々しくランディを連行してみんなと合流します(笑)。

 ヒース ……イリーナ、向こうでロディとルーシィが怯えてるのは何故だ?

 イリーナ え、やだぁ、そんなことはないですよ(にっこり)。

 エキュー そして片腕には顔面を変形させたランディが引きずられているわけだよね(笑)。

セッションのラストバトルが終わったあとのやり取り。なんか、どーにもギャグシーンを選びたくってねぇ(笑) 候補は他にも2〜3あったんだけど、今回はシーンイメージが即座に浮かんでくるこの場面をチョイス。しっかしすげぇなイリーナ、コレのどこが法の神・ファリスの神官戦士なんだろーか ( ̄▽ ̄;)



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2007/05/14