感想・小説編。

賭けろ! 世紀の大勝負 新ソードワールドRPGリプレイ集6

著者:秋田みやび

出版元:富士見ドラゴンブック


へっぽこ冒険者のリプレイ、第6巻。ドラゴンマガジン誌上でシリーズ連載していたのが、今巻の収録分だそーで。そんなワケで、今回は3話連続のキャンペーンもの。

まぁ、晴れて雑誌連載しようが何しようが、「へっぽこ」はやっぱりへっぽこなまんまなのですが(笑) とりあえずそーゆー経緯なためか、別に気になってるワケじゃないですが、この巻はなにやら説明的なセリフが端々に入れられてたりしてますねー。本作はコレで通算6巻と、TRPGリプレイ文庫としては相当な積み重ねをしてはいますが。やはりどんだけシリーズとして長くやってても、改めて新規の場所で披露するとなると、そーゆー"気遣い"は必要不可欠ですからねぇ、文庫だけで読んでる私みたいな読者には不要な描写・セリフも今回ばかりは必要なワケですな。つーか、雑誌掲載時はもっとその手の文章が多かったんでしょーケド。

にしても、この巻から『アンタがへっぽこ大賞』を選ぶとしたら、今回は間違いなくGMがノミネートだな(笑) ラストの17話はまだ、スムーズかつ上手にセッションを進めてはいますけど、その前16話ではプレイヤーの誘導を外してるし、15話なんてシナリオボスが熊になっちゃってるし。まぁ16話は、ズレたなりにアドリブがウマく動いてるから悪い失敗ではないんですけど、15話に関しては、ふたケタも一緒にセッション組んでるクセしてなーんで重戦車のラッキーパンチを失念するのやら(笑) ツメが甘いととゆーかなんとゆーか、やっぱり「へっぽこ」とゆー単語がしっくりくるな〜。15回以上もセッションやってリプレイ書いてってなったら、フツーに考えても「ベテランの一歩手前」くらいの経験だろーに、どーしてこうもヌケっぷりが治らないのかなー。読む限り、当人はいたってマジメにセッションしてんのに。

と、そんな調子のGMながら、滅多に活用されるコトのないドラゴンプリーストなんつーレアな職業を持ち出すんだからなー。なんでこーもチャレンジャーなんだ、秋田さんは。ま、なんだかんだと言って、やっぱそれら各要素が本作の魅力だってのも確かなトコではありますが。面白さとして、なんら悪い方には作用してませんしねー。



▽自薦名場面 ― 233〜234ページ

 エキュー じゃ、いこうか。スゲーナ。

 GM 「よし、戦おう!」 スゲーナは咳払いしながら、ゆっくりと立ち上がり……「よくきたな冒険者ども、ここの宝は渡さんぞ!」と、ちょっとだけぎこちない口調で……(笑)

 ヒース それがやりたかったのか!(笑)

 バス うむ、素晴らしい、こちらも受けて立たねばなりませんぞ、イリーナ!

 イリーナ うん! ファリスの勇者、イリーナ・フォウリー、いざ参ります! ドラゴンよ、勝負!

 マウナ ……うれしそうね、イリーナ。

決戦を控えての前口上。もひとつ別の候補があったけど、最後にはコッチを選んだ。こーゆー具合で"お話的に"ビシッとバトルを始めるのって、コレが初だよなー。この、キッチリ決めているようでいてどこかほほえましい感じがあるトコが、なんか気に入ってます。それにしてもへっぽこパーティ、普段はどーにもせせこましいクセして、こーした「決闘」となるとあくまで自力で挑もうとするあたり、やっぱ結局は人が良いとゆーかなんとゆーか(笑)



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2006/11/23