感想・小説編。

マリア様がみてる いとしき歳月 前編

著者:今野緒雪

出版元:コバルト文庫


女子校コメディの第7巻。前後編仕立てで、卒業式目前の時季のエピソードをお送りします。ま、前に引き続き、やっぱりコレも前後編っつー意識は薄いけど。前編は黄薔薇さまロサ・フェティダがメインのお話。こーゆー単純な恋話って、そーいや本作じゃめずらしいやね。ま、言ってもやっぱりコメディなんだけど。

この巻の全体的な内容…ひと言でまとめると、「友達ってイイよね」みたいなエピソードで作られてる印象ですかな。前半の「黄薔薇まっしぐら」(←よく考えたらすげぇタイトルだな(笑)は、舞台の中心に立ってる(むしろ、勝手に立たされた?)黄薔薇さまロサ・フェティダこと、鳥居江利子とりい えりこの窮地(?)を打開するために、あれやこれやと首を突っこむ山百合会メンバーの友達想いな部分が、ハナシのキモだと言えますし。後半「いと忙し日日」も、空回りで頑張りすぎた祐巳が疲れてぶっ倒れたときに、まわりの友人・先輩方がキチンとフォローしてくれるという、親しい人達の優しさってヤツを描いたエピソード。基本的に当方、たとえば学校などで学年・年齢が違っている、いわゆる先輩・後輩の関係であろうとも、親しくしている同士ならそれは全部『友達』とゆー括りでOKじゃん、と考えてる人間でして。本作の舞台はあくまで女子校で、登場人物それぞれの立ち位置も(姉妹スールだ薔薇さまだをワキに置けば)先輩・後輩と表現するのが正しいのですけれど。でもやっぱり彼女らの”付き合い方”は、私の見方からすると『友達同士』に映るモノであり、ソレを抜きにしても、親しい人のためにアレコレ動き回ったり手助けをする姿には、ただ単純に「あぁ、そーゆーのってイイよな」と思うワケですよ。うん、やっぱり友達ってイイよね。

それにしても。卒業式を間近にひかえたこの巻の雰囲気は、読むにつくづく、学生時分のことをどことなく思い出してしまうよなー。私の高校時代はと言えば、3年間ずっと帰宅部だったため、先輩後輩との関わりみたいなモノは、およそゼロに等しいものでしかなかったんですが。それでも何かあの頃の、送るにしても迎えるにしてもどちらでも、卒業だなんだでドタバタした雰囲気なんかを、こう、薄ボンヤリと思い出さないでもない気分です。やー、あれからもう約10年ですか、オレも。歳食ったなぁマジで。ノスタルジー感じるほどでもねーけど、こーゆーこと思うのはやっぱ歳かさ増えた証拠だぁね(笑) もうアレだ、オッサンだなオッサン。コレばっかりはどうしようもなく事実だねー。



▽自薦名場面 ― 214ページ

 「私は?」

 コーヒーを飲み干して、私は缶を空き缶入れに捨て、その場でクルリと回った。

 「え?」

 彼は聞き返す。

 「私を見て、恐竜を思い浮かべられる?」

 「そうだな。ピプシロホドンかな。ステゴケラスじゃ、少し大きいかもしれない」

 私は、恐竜に喩えられたことがなかったから、ゾクゾクした。こんな人、どこにもいない。

江利子と山辺さんの出会い。う〜ん、なんか説明するのが難しいな。コレといって印象の強い場面でも無いんだけど、なんだかこのシーンは単純にかなり好きなのです。なんかこの巻はそーゆう、「単純に好き」ってのが多い気がする。前のページの挿絵も含めて選出しようかとも思ったけど、あえて辞めてみた。コレもやはり明確な理由は無し。う〜む、つくづく説明の付けにくい部分だー。



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2006/01/25