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感想・小説編。

マリア様がみてる ロサ・カニーナ

著者:今野緒雪

出版元:コバルト文庫


女子校コメディ4巻目。生徒会選挙でのひと騒動を描いた表題作と、年明けの一幕を描いた番外編の2本立て、ですね。

4巻ともなるともう、安定して面白い感覚になってきてますな。天然ボケ主人公(笑)が織りなす学園コメディとしてもイイ点数だし、色々な出来事にココロ揺れる様を見せる学園ドラマとしても面白いし、何気ない女子校で起こるアレコレを描いた学園ストーリーとしても楽しめる。個人的に最も認めている(※”楽しんでる”のとは別)のが最後の部分でして。すでに何度か言ってることではありますが…ホント、言ってしまえば全然大したことのない日常物語を、こんだけ面白みのあるお話に仕立て上げる今野さんの作家としての手腕には、つくづく感心させられます。特に後半の「なかきよに」なんて、ぜんっぜん代わり映えの無いフツーの日常だもんなぁ。それをテンポ良く、かつ面白く描けるのはやはり、作者の”自力”が高い証拠だと思います。

あと他で、この巻で見られる本作の魅力は、各登場人物達の”良さ”、にあるように思います。キャラクター的な魅力ってよりも、人間としての好ましさって意味の”良さ”やね。まぁ作品舞台の関わりとしてそもそも、「敵役」とか「悪者」とかってのが目に見えて現れにくいっつー部分もあるんでしょうが。でも基本的に本作、”嫌なヤツ”っていないんですよね。少なくとも、私が自分で読んでるぶんには。前半「ロサ・カニーナ」の蟹名静かにな しずかその人が少し「敵役」に近いかもしれないけど、でも結局は彼女も、自分のささやかな願いのために少し周りを巻き込んだだけの少女、でしかないですし。ソコには悪意があったワケじゃなく、ただ単に狂言回しであっただけで、その点では彼女をむしろ好ましく思ってます。あと「なかきよに」だと、ギンナン王子こと柏木優かしわぎ すぐる嫌われキャラやってますが(笑) コイツもこいつで本質的には悪いヤツじゃないし、コレでまた個人的には気に入ってたりするんですよねー。ま、余所じゃ嫌いって読者も多いだろーけどさ。なんせ、1巻での所業がとにかくアレだったからな〜(なんだか遠い目)



▽自薦名場面 ― 127ページ

 「ごめん、気がつかなかった。髪が長かったの?」

 身も蓋もない白薔薇さまロサ・ギガンティアの言葉に、ロサ・カニーナは顔をくしゃくしゃに歪めて笑った。

 「そういうところも含めて、好きでした」

「ロサ・カニーナ」のラスト間際の一幕。なんつーのか、細かい描写とか一切抜きで、そのたった一文の「笑ってる様子」だけで彼女の心理のすべてを表現してくれているような、そんな表現の素晴らしさが込められていて気に入ってます。彼女にとってその一言が、どれほど嬉しくて楽しくて聞きたかった言葉だったのか、コレだけで伝わってくるんだよねぇ。



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2005/04/13