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感想・小説編。

カルシファード緋炎伝2 黒き焔の轟き

著者:友野詳

出版元:角川スニーカー文庫


カルシファードシリーズ第2期の2巻目。前回はカルシファード候国の南の島だったけど、今回は北方の山間が舞台。なんつーか、沖縄から東北に行ったみたいな感じ?(笑) あと、今巻のサブタイトル、みょーに迫力あってカッコいいなぁ。実際には、劇中のバケモノの名前なんだけどさ。

全体の感想だけど、この巻は全編通してなんとも、”圧倒的なもの”がアレやコレやと描かれてる感じですかね。それはたとえば、蜘蛛魔くもま(雲間?)の城の装いだったり、封印された銀の月の〈異貌いぼうの神〉である〈黒きほむらの轟き〉と、それと対を成す〈龍の怨念の頭〉だったり、他にもまぁ色々と。本シリーズに限らず、もともと友野さんの作品にはそーいった、圧倒的な存在みたいなヤツがよく出てきますけど、この巻では特にそーいったのが登場している印象が強いですな。ま、今回の話はルナル世界中の、銀の月関連の要素が多く出てくる回だから、必然っつったら必然な作劇なんだけど。もともと銀の月がそーゆう、”異質な存在”って扱いの設定だからねー。もっとも、それらの豪快な存在をガッチリした力強い文章で描いてくれてるからこそ、その圧倒感が引き立ってるし、なにより面白く読めるワケですが。とりわけ、クライマックスの怪獣大襲撃みたいなことになってる(笑)場面はなんとも、”スゴいの”がデタラメに大暴れしてる!、ってな感じが出ていて実に面白い。基本的に作者が特撮好きってのが強いのかもしらんけど、つくづくこーゆうシーン描くのが達者なヒトだよなー。

物語以外の部分、キャラクター描写もまた、変わらぬ面白さです。前巻と違って今巻は最初っからメンツがそろってる(っつっても、途中で一回またバラバラになるけどな)から、白狼党の面々としての各キャラの活躍を楽しめます。にしてもなんか、緋炎伝になってからは、キクノがイチバン成長してる感じだなー。他のキャラもそれなりにキチンと成長してるけど、彼女のしっかりしていってる様子は、頭ひとつ飛び抜けてる気がしますね。このシリーズ、実はヒロインが最大の成長株か?(笑) リョウヤもリョウヤで、大きくなってはいるんだけどねー。



▽自薦名場面
 ― 198〜199ページ

 懐かしさに、とても似た感情だった。顔も憶えていないが、父母と対面できると言われれば、このような穏やかさを感じるのかもしれない。その感覚の源を探ろうと精神を研ぎ澄ましてみる。

 するべきではなかった。

 ――強大な。

 ――絶対の。

 ――圧倒的な。

 ――超越的に。

 破壊、怨念、悔しさ、渇望、力、力、力、力、力、力、力、力、力、力、力、力、力、力。

 無限に続く闇のとばりが、彼を押し潰し、揉み潰し、呑みこみ壊そうとする。

 『あっ、がっ、ぐふぅっ!!』

 とてつもない圧力がツカサの精神にのしかかってきた。湖上の城の重みが、そのまま彼に叩きつけられたかのようだ。心への打撃は肉体に反映し、魔術師ウィザードは息を詰まらせた。

レビュー本文で”圧倒的なモノ”をほめてきた(?)ので、その中のお気に入りをチョイス。とにかくもう、文章表現としての圧倒感の示し方・書き方を、どーぞご覧になっていただきたい。こんなん書いてくるからもう、私は友野さんの描写に尊敬と羨望を抱いて止まないんだよねー。あ、ちなみに「力」の数はシッカリ指折り数えたからこれで合ってるハズ。万一間違えてたら土下座する準備はありますともさ。



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2005/11/14