感想・小説編。
フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム
著者:賀東招二
出版元:富士見ファンタジア文庫
フルメタルパニック、長編シリーズの10巻目。長く沈められていた"時間に打たれた楔"が今こそ眼前に顕れ、物語の全ては語られるべき、辿り着くべき最後の舞台へ向けて足を伸ばす。 さぁセミ・ファイナルです。ここに至るまでに積み重ねてきたストーリーに対して、描かれるべき事々を白日の下にさらすため。今巻ではそうした物事のおよそ9割方が、400ページ超のページ数を通して一挙に明かされていきます。存在しない技術が"来た"のは一体どこからなのか? ささやかれた者と呼ばれる人物が誕生した原因とは何なのか? ラムダドライバがASに搭載されている理由は何故なのか? <TAROS>とは何だったのか? オムニ・スフィアとは? どうしてアームスレイブという兵器が世界に生まれたのか? この物語世界に住まう人々が「こんなものはあるはずがない」と感じるのは一体どうして? どうして"この世界"はこうなっているのだろうか――? そうした、それこそ第1巻から取りざたされてきた数々の問題の"こたえ"が、この巻でつまびらかにされていくのです。 言ってしまえば、この作品世界を"読み解く"に当たって必要な情報は、ここでほぼ出そろった状態です。この巻で語られた事々を注意深く拾い上げていけば、次の巻、物語の結末までに描かれることの"あらかた"には解答を見いだせる状況になっていると思います。幾人もの人々の思惑、彼らがそれぞれに何を望んでいるのか、何を確信して"そう"と語っているのか…… まだいくつかの謎も残されてはいますが、私個人としては、本レビュー執筆の現段階において次巻・長編最終巻の中で描かれるであろう"要素"には、多くの部分で確信すら抱いている状態です。そうしてその上で、未だ"こたえ"の知れない本当の結末を、強く心待ちにしている次第でもあります。 いくつかの戦場、交差する様々な人々の思い、誰かが託した願い、誰かが求めた行く末、とある狂気とそれが生んだ宿命、流れた血、流れた涙、それでも広げられゆく戦いの様、そうしてついに迫り来る最後の決戦―― ………いやぁ、本当はもっとアレやコレやと、本編についてガスガス語っていくべきトコなんでしょーけどね。なんかもう、アタマに錯綜していく事柄が多すぎて、文章にまとめきれない有様だなー(苦笑) ただそれでも確かに言えることは、そんな複雑な迷いを抱くほどにこの物語が凄まじく面白いのだという事。この長大なシリーズのセミ・ファイナルを飾るに相応しいバツグンな盛り上げ方を成して、作品の完結となる次の巻へ、「はるかな時に、すべてをかけて」戦う舞台へと、我々読者をいざないます。そんな自分にできる事はやはりひとつだけ、ただ待つことのみ。イヤまぁコレで次が長編最終巻にならんかったら大爆笑モノですガ!! そこは、さすがに、信用しといてイイよなぁ…? コレ書いてる現状でも、とりあえずそーゆうアナウンスではいるみたいだし……
何を否定し何を肯定するのか。何が世界の真実だとするのか。直面するであろう究極の犠牲と覚悟に、相良宗介はどう対峙し乗り越えるのか。
あれはだれだったか? いや、別にだれでもいい。あそこに弾丸を送り込むだけだ。 もうすぐその瞬間が来る。自己の全生命を標的に叩き込む至高の瞬間が。 ああ、いやだな。 もっと遠くても狙えるのに―― あえて多くは語るまい、その生命を燃やしていった"魔弾の射手"に、神如き狙撃を果たした男に、たったひとつの敬意を込めて。まぁぶっちゃけ私の見解は"生存派"だけどさー(ぼそっ) |