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感想・小説編。

フルメタル・パニック! -サイドアームズ- 音程は哀しく、射程は遠く

著者:賀東招二

出版元:富士見ファンタジア文庫


実のところ、タイトル表記が長くなりすぎてるので、ラストの表題は切ろうかどうか迷っていたり。レイアウトの見栄え悪くなるんだよな、表記が長引くと。まぁ言うほどウチがデザインの良いサイトかと問われれば気前良く目を逸らしますが。そんなワケで、ギャグ調がメインである普段のヤツとはひと味違う、ミスリル側の面子をメインに据えた第2の短編集・サイドアームズの1冊目です。

ま、基本短編集なので、カンタンベンリな個別感想で。まず表題作の『音程は哀しく…』。もーひとつ経歴の見えてこないクルツを主役にした、なんとも言えないしんみりとした余韻の残るお話ですね。過ぎ去ってもう二度と取り戻せない過去の想い出と、それから流れた年月の上に形作られてしまった哀しいまでの現在、そんなうちひしがれそうな現実を前にして訪れたひとつの決別。なんだろーなぁ、ブルースの似合うエピソード、とでも言いましょうかねー。ひと言では言い表せないような、そんな物悲しさの込められた短編です。ま、「クルツ・ウェーバーの語られるべき物語」としては、他にもまだあるハズなので、ソチラにもまた期待したいトコです。しっかし、コレやったあとに『ベリメリクリ』のあのシーンかよ。そりゃまぁ、「ギター捨てた」とは別にココで言ってないケドさぁ(笑)

次、『エド・サックス中尉のきわめて専門的な戦い』。オッサンの一人称によるアームスレイブのメカニック解説とゆー、どう好意的解釈をしても一般性を投げ捨ててるとしか言い様のないお話。いやまぁ後半でチョイと、デ・ダナン整備班の”戦い”がどんなモノであるのかを語ってみせてくれてますが…ホント、ほっとんど作者の趣味で書いてるよな、この短編(笑) まぁ、設定オタクの気が強めな私みたいな読者としては、これはコレで面白く読めたりしてますが。

みっつめ、『女神の来日(温泉編)』。140〜148ページの内容こそがキモの回ですが、女性読者の不評を買ってさえ加筆増量し、さらには挿絵までシッカリ載せてきた(他の絵と見比べるに、おそらく文庫用の新規描き下ろしではないかと)著者&絵師の両名には惜しみない賞賛の拍手を(←大げさ) このお話はやはり、アニメ版も一緒に楽しんでおきたいエピソードですねー。全編通して大爆笑必死の内容ながら、ラストはラストでちゃんと素晴らしい”シメ”も入れてくるとゆー、実はかなり完成度の高い1本だったりします。にしても、女神の来日シリーズはあともう他にやらないんでしょーかねぇ。短編6巻のあとがきにあった、巨頭会談編とか三者面談編とか、結構本気で読んでみたいんですが。このレビュー執筆現在の展開だと、ギャグ短編はもう再開しよーにもムリなのかなぁ。だとしたら残念。

よっつめ、『よいこのじかん(以下略』。ブルーザーの回が「ほとんど作者の趣味」だとしたら、コチラはもう「100%カンペキに作者の趣味全開」とゆー内容。いやコレ、”エピソード”でもなんでもねぇだろ(大笑) 作中でヤンがセルフツッコミ入れてくれてるからまだ大丈夫ですが、もし無かったらマジで作者はどーかしてるとしか言い様がありません(※たぶん誉め言葉) でもまぁ、どーかしてるのを一応置いとくと、「ロボットを動かす」とゆー概念(?)に対する考察とソレに対する解答としてのこの設定構成および描写は、アイディアの深さについて何気に唸らされるようなトコロもあったりしますが。いやホント、よく考えつくよなー、こんなメカ設定。もっとも、”そーゆーの”の詳細な設定を読ませるのがまた、SFモノの楽しさでもあるんですケドねー。

ラスト、『ある作戦直前の一幕』。なんてのかアレだ、「世間は狭い」とかそんな感じのエピソード、っつーのか。長編シリーズになってくると、どの手の作品でもよく登場してくる種別のお話ですねー。いわゆるお約束的なソレ。ところで全然ハナシ変わるけど、今回出てきてる機長の中尉って、デ・ダナンの隊員ではないんでしょーかねぇ? 同じ隊のメンバーなら、普段からのマオの気苦労くらい知ってそうなもんだけどなぁ。でも作戦地域を読むにダナンの管轄ではあるっぽいから、他のミスリル作戦部隊への応援って事でもなさそうだし… ま、かなりどーでもイイ疑問でした。



▽自薦名場面 ― 228〜229ページ

 同時に抗弁しようとする二人を、海兵隊出身の彼女がもう一度ぴしゃりと遮った。

 『だまれ! あたしは”いい加減にしろ”と言ったのよ!? あんたらが殺し合うのは勝手だけどね、アルの言うとおり、せめて作戦が終わってからにしなさい。だいたいあたしに言わせりゃね、あんたたちは新兵以前の、クソッタレの、両生類の小便ほどの価値もない存在よ! そんな最低のウジ虫野郎どもが一人前に口論なんざ、神が許してもあたしが許さない。それ以上、発情したメス犬のわめき声みたいな雑音を聞かせる気なら、いますぐコックピットから引きずり出して、あたしのクソをテメーらの口に詰めこんで縫いつけてやる! わかったわね!?』

 まさしくマシンガンのような勢いでまくしたてる。二人は渋々と口をつぐんでから、

 『了解』

 と、つぶやいた。

 『言ってみなさい。あんたらのケツはだれのもの!?』

 『メリッサ・マオ曹長のものです』

 二人は同時に言った。

 『あんたらの金玉はだれが握ってる!?』

 『メリッサ・マオ曹長です』

 やはり二人は同時に言った。

 『よろしい。以後は私語厳禁』

ほぼ1ページまるごと抜粋、メリッサ・マオ曹長のマシンガンシャウト。このシーンはアレだ、声優さんのボイス(いちおう記すと、マオ姐さんの声は根谷美智子さん。他ふたりは別に要らないかなぁ)を脳内再生しながら読むのがベストな楽しみ方かもしれんね(笑) 以前にもこーゆー場面を選んだコトあるけど、この手のギャグ描写が好きなのかなぁ、オレって。



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2007/03/29