感想・小説編。

フルメタル・パニック! 終わるデイ・バイ・デイ(上)

著者:賀東招二

出版元:富士見ファンタジア文庫


フルメタ長編、第4弾の上巻。長編シリーズの大きな分岐点となるエピソード、その前半戦ですな。あぁ、新たなウルズ1ことクルーゾーが初登場したねー。この巻ではまだ中尉なのねー。

いっちゃん最初に言っちまいますと、現在刊行中の本作のシリーズ中ではこの上下巻がイチバン好きです。前半はウルズチームのアクション逃走劇に始まり、中盤では宗介とかなめの小さなドラマを語り、そして後半ではいままで続いてきた”いつもの日常”を唐突に崩壊させる、というのが上巻の大雑把な内容。このストーリー展開、緩やかに続いていたさざ波が、突然覆い被さるような大波となって登場人物達を襲っていくかのような流れは、まさに「一片たりとも見逃せない」ほどにドラマチックな内容となっています。そして何より見逃せないのが、この上巻で起こる様々な(彼・彼女の)問題を、下巻では見事なほどに収束させて終わらせてくれるという部分。上巻で生じた多数のカタルシスを、下巻でキレイサッパリと解消してくれる、このドラマ展開の面白さと来たら! だから、このデイ・バイ・デイは上下巻をひとくくりにして感想を述べるのがイチバン効果的で正しい”手段”なのですが……まぁソレはそれ、1冊1冊順繰りにレビューしていくのが私のやり方ですので、ね。本当に語りたい部分は、下巻のレビューに取っておくとしましょーか。

つーワケで上巻の内容のみに絞った感想と行きたいんですが… う〜ん、やっぱりコレ、下巻の内容を踏まえ(?)ながら感じることが多すぎるなー。つーか、上巻の展開ってホント、下巻での展開のための伏線とゆーか前振りとゆーか、そーいった内容に終始してるんだなー。以前は「何でコレ上下巻で分けて出すのかね」といった疑問も少々抱いてたんですけど、いま改めて思うと、上下巻に分けて読ませた方が効果的なストーリー展開って風にも取れてきましたねぇ。まぁホントのところは出版社側のビジネス的なアレコレが絡んだ上での話なんだろーケドさ。



▽自薦名場面 ― 60ページ

 「野郎ども、覚悟はいいっ!?」

 「いつでも」

 「どこでも」

 追っ手が迫った。すぐそこまで。

 ああ。けっきょくあたしは、こういうノリが好きなのだ。

 「ロックン・ロールっ!!」

マオ・クルツ・宗介の掛け合い。あえて下巻の流れと関わらない部分でひとつ選ぶなら、ここの、ノリとゆーかテンポの良さが単純に好きなんですよね。気に入ってる場面はいくつもあるんですけど、どーしても大概が下巻絡みになっちゃうんだよなー。



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2005/09/25