感想・小説編。

涼宮ハルヒの退屈

著者:谷川流

出版元:角川スニーカー文庫


荒唐無稽学園コメディの3巻目。時間軸としては、1巻と2巻の間の時期のエピソードで、かつ短編集の巻。ただでさえ表題がもうややこしいのに、ますますややこしい事になってるなー(笑)

短編集なので、各話バラけて感想並べますか。それぞれの繋がりとか、あんまし考えなくても構わないタイプの作品ですし。つーか、そうした方が自分もラクだし(←最大の理由

まず、『涼宮ハルヒの退屈』。いわゆる表題作? と言っても、いちおう程度のモノって感じですが。なにやらあとがきによると、本シリーズが世間に出版されたのは、この回が最初のよーで。……私は本作のことを「荒唐無稽だ」と言い続けていますが、世に出た初めのカタチすらも荒唐無稽だったのですなー。どー読んでも、1巻の内容を前提にした上での作劇やら描写が大半なのに、世に出た当初の時点では読者がソレを知る手段は存在せず、一切の説明無しに「前提ありき」の短編が出てくるとゆー、その状況。有りなのか、それ(笑) やっぱこのシリーズ、私にとってはSFでもなんでも無いですね。まったくもって、荒唐無稽な学園コメディですわ。そーいや、この回ってキョンの妹って、ひとつもセリフ無いですね。あと、この兄妹はどっちも本名不明なんだよなー。まー、どちらも別にどーでもイイことですケド。

次、『笹の葉ラプソディ』。1巻にチラッと出ていた伏線の解説と、次の巻の伏線張りとを兼ね備えてるとゆー、実は面白い構図の上にある回。まぁ、その面白さを理解するには1巻と4巻とを読まないとダメなんですけどねー。にしても、未来時間の情報とリンクしたり、限定空間の時間経過を停止させたりと、長門ながとは本気ですーぱーがーるだなぁ(笑)

『ミステリックサイン』。唐突に外れたこと言うけど、キョンが学校の成績イイ方じゃないってのは、なんとなく奇妙な感じがするなー。普段の文章(=キョンの脳内つぶやき)を読んでると、コイツってアタマが悪いタイプには全然見えないので。あくまで作者自身の知識の上で書かれてることを考慮しても、無闇に博学だったりするしさ。…知力と知識はあるけどガッコの勉強はできない系のヤツなのかねー。

ラスト、『孤島症候群』。端的に評すると、ちょいミステリな回、ですね。別にミステリ色が強いワケでもないし、谷川さんもソレが狙いってんでもないんでしょーけど。とりあえず、こーゆーミステリ的な技法で作られた作劇って、ワリと好きだったり。イヤしかし、ハルヒを取り巻く人々は本当に大変だよなー。彼女の退屈しのぎのために、ワザワザこれだけのお膳立てをしなきゃならんのだから。この回で言えば古泉こいずみ、プラス『機関』が「がんばったで賞」の回ですな(笑) まぁ彼本人は、何気にその状況を楽しんでるフシもあるんですが。

まーこんな感じで。このレビュー書いてる時点で、4巻までしか読んでないんですけど、続巻もっと読んでたら、また違う感想になるのかもしれませんね。まぁ、本作についてはそーゆー読み進め方で行こうと、2巻読了時点で決めてたりするので、コレはタダのつぶやきですが。



▽自薦名場面 ― 49ページ

 「この回でコールドゲームにならないように、全力を尽くしましょう。ここで試合が終わるようなことがあれば、世界が終わってしまうことと同義です。なんとしてでも二点以内に収めなければね」

野球中の古泉のセリフ。なんつーのか、この『涼宮ハルヒの…』シリーズがどんな世界設定の上にある作品なのか、それを如実に物語ってるセリフじゃなかろーか、と。ほんっとに、心の底からデタラメだよなー(笑) なお、このセリフがワケ分からんと思った、本作未読の方へ。意味が知りたかったら、とりあえず1巻の『憂鬱』を読みましょう。そんな感じ。



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2006/05/14