感想・小説編。
ダブルクロス・リプレイ・オリジン 残酷な人形
著者:矢野俊策
出版元:富士見ドラゴンブック
巻数の表記は無いんだけど、DX2のリプレイシリーズ第2弾の2巻目。なんか「2」が3つも並んだな(笑) 主役2名である隼人・椿が引き続き活躍しつつ、他のキャラと舞台は真新しく展開していく、曰く「また旅もの」としてのシリーズ展開。こーゆうリプレイシリーズってのも、ワリとめずらしいかも。 まぁなんつーのか。文庫内でも筆者本人が似たようなことを述べてるよーに、このオリジンがシリーズ連作となるとは、1巻を読んでた時点では思ってもみなかった、ってのが最初の本音にありまして。だから、この2巻が発売されたのは純粋に嬉しかったってのがありますねー。そもそもが、1巻のレビューの時点で、続巻が出ること想定せずに書いてたしな。そしてなにより、本作がTRPGのリプレイ文庫として十二分に面白いのがまた、別に嬉しかったトコでもあります。1巻も実に良かったけど、この2巻もなかなか。 まぁ言っても、そう大した種類や数量のリプレイ文庫を読んでるワケでもないから、正しい分析考察はできないんですけど。ともかくもリプレイ文庫って筆者、つまりGMの性質によって、シナリオ内のギミック重視だったり、物語性に重きを置いていたり、基本的に"ノリ"が前面に押し出されてたりと、様々な特色があると思うんですよ。そんな中で本作のリプレイは、ドラマ性もなかなかに強いし、何よりもシナリオ中で展開されるギミックが実に面白い。ソコは前巻でもそうだったんですが、この2巻もまた、DX2の特徴である「ロイス」を活用したギミックが、実に巧妙に作動しています。他にも、UGNチルドレンという設定を利用して、主役2人の立場を揺らがせてシナリオを展開させるトコなどは、DX2の世界設定を上手に活用したハナシの作り方かと。まぁ正直なトコ、ドラマ部分に関してはプレイヤー側のロールプレイが良いってのが、かなりデカいですけどねー。ソレでもやはり、本作が持つ面白さと、なによりリプレイ文庫としての役目を充分に果たしている点は、どちらも高く評価できるポイントでしょう。うん、純粋に良いリプレイ文庫だと思いますよ、本作って。 あぁ、そーいやGM・矢野さんの特色として他にも、バトルのバランスがキツめってのがあるかもしれませんなー。どの回のラストバトル読んでても、毎回プレイヤーがヒイヒイ言ってるし(笑) GMはプレイヤーを(良くも悪くも)追いつめてナンボ、って考え方の人なのかも。
GM:いやいや、仕掛けをすべて使い切ったのは、そっちの動き方がよかったからですよ。……用意した中でも、最高のエンディングです。 エンディングフェイズ前の、GMの発言。このエンディングに到達したとき、プレイヤー側ももちろん嬉しかっただろうけど、イチバン嬉しく思ってたのはGM本人だったんじゃないかなぁ。いやホント、そこに到らせたプレイヤーも見事だし、これだけの仕掛けを組み込んだGMも素晴らしい。てゆーか、もともとゲームルールに精通してもいないんだけど、「Dロイス」って昇華されうる要素なんだって初めて知ったよ。ともあれ、苦難を乗り越えたプレイヤーに対するGMの最大級の喜びが伝わってくる、まさしく最高のエンディングです。 |