感想・漫画編。
TWIN SIGNAL外伝 呪われし電脳神 1巻
著者:大清水さち
出版元:ガンガンWINGコミックス
母さんが死んだのは4年前 爆発事故だった…――― 3〜5ページ プロローグより
てなワケで外伝のレビューでございます。いちおう番外編のストーリーは、本編サイドでも前後編読み切りスタイルでコードの過去エピソードなんかやってたりしましたけど(※ツインシグナル13巻)、コチラは別の掲載誌で、さらに数話に及ぶ内容でもって描かれるシナリオってコトで、作品世界内の時代背景にも長い背景を持つTSシリーズにおける"昔の出来事"のひと幕を、短編コミックスに収録されるだけあるボリュームで読ませてくれています。登場人物の上でも主役キャラを、本編サイドのシグナル&信彦に対し、カルマ&正信をメインに据えることで、描写上の差別化が図られてるのが特徴でしょうかねー。なんつーかホラ、シグナルと信彦って んでまぁ、肝心の本編の中身についてですが。いまんなって改めて読み返してみて、なんかそんなでもないなぁ、と。なんと言いますか、元から短期連載作として企画されてたせいなのもあると思われますが、作劇的にどんどん先へ進めてようとしてる部分が大きくて、"肉付け"が物足りなく感じるのですよねー。テンポが良いってよりも、話が早いっていうような感じ。なんでしょーか、TS本編がじっくり物語を描いていったのも影響してるんでしょうかねぇ、基本、必要な作劇だけ描いて進んでいるとどうにも不足感を覚えて仕方無い気分です。 うーむ、何気に面白いなぁ、昔コレ単品で買って読んだときはそんなこと思わなかったんですけどねー、本編を一通り読み込んだ後でコレ1巻だけ読んでみると、なんとなく物足りない。なんだか変なトコで自分のレビュー執筆スタイルが生む影響を実感してるよーな、そんな気分ですな。
「破壊…ねぇ。研究室の電脳に閉じこめられているだけと、どう違う? 時が停まっているという点では同じじゃないのかな?」 「違う! 我々ロボットはたとえ体が無くともプログラムは成長する! 『破壊』は『終結』だ、『無』に始まりはない!」 「流石A-C、古いプログラムは言うことが上手い。君は体を待つがいいさ、堅実に。でも我は猶予期間を楽しむ性分ではないんだ。だから自主的に体を編みだした。 自分で考え自分で動く 皆が夢見るロボット像だろう」 コードとA-G・ギアの問答。本作が雑誌掲載されたのって本編が終わるよりもだいぶ前なんだけど、むしろ本編よりも先にコチラ側でも、シリーズラストで描かれた「ロボットの在り方」について触れていたワケで。自身の判断によっておのれの在り方を定めるロボット、それは確かに「ヒトの夢に見たロボットの姿」なのかもしれないけど…でもこのギアの姿は、理想のカタチとは大きく違うんだよねぇ。でもそれでも、ソレは狂った思考だとしても、自立した機械知性である・あろうとする彼には、"異質"に対する恐れと同時に一種の魅力さえ感じてしまうのは何故だろう。まぁソレこそが異質への感情ってヤツかもな。 |