感想・漫画編。
TWIN SIGNAL 13巻
著者:大清水さち
出版元:ガンガンコミックス
ロボットマンガの第13巻。第4のクオンタムメンバーとなる(?)、クイックが初登場。コイツだけは他の連中よりずっと、誰のコピーロボットなのかがハッキリ分かりやすいな。クオータなんかと比べて、よっぽどオリジナルと顔立ちが似通ってるから、かねー。ま、どっちも性格的にガキだしなぁ(笑) そんなこんなで、さらにまた重要な意味合いを持ってそうな新キャラが登場はしましたけど、コレと言ってまだ目立った進展もないのがこの巻だったりするワケで(苦笑) まぁアレだ、シリーズ全体から読んでみると、エピソードをひとつずつゆっくり順番にこなして行ってるので、物語の描写としては実に丁寧な進行をしてる…んですが、コミックス単位で1冊ずつ読んでく分には、コレと言ってハデな展開が起こってくでもないから、ビミョーに面白味に欠けるとゆーか。ま、それでも私ゃ好きなんですけどね、このマンガが(笑) と、その中で目を惹くのが巻末収録となってる、コードの過去エピソードを描いた外伝・前後編ですな。単純に読む分には、本来なるはずだった相棒・バンドルとどのようにして別れることとなったのかと、それに付随して細雪を手にするまでの経緯とを記した番外編なんですが、そこで描かれるコードの苦難とゆーか自ら背負った業とゆーかが、もう。たとえそのとき目の前にいたのが魂の抜け殻、ただの残骸であったとしても、たったひとりの相棒に自ら引導を渡さざるを得なかったその”重さ”は、果たして如何ほどのものだったでしょうかね。不本意なままに持てあました時間を少しでも有用させるため欲したチカラ、それを初めて向けたのは他ならぬ彼自身の相棒、そうしたくとも守ることさえできなかったパートナー。「自由」を持てなかったから、そうできるだけの力が無かったからこそ、彼はひとり密かにより強く在ることを誓う。 彼が”現在”において、シグナルやオラトリオなど周りの者に厳しく接してばかりいるのは、単に年長者だからとエラぶってるだけでなく(←まぁ4割以上がそーであることは否定できんが(笑)、強くなれなければ大切なモノを何も守れないという事を、痛いほどに知っているからなんでしょーね。おのれが無力なばかりに何もできない苦しみを抱えることになる、そうならずに済むように常に厳しい態度で教え諭そうとする。もちろんそこには相手に対する期待があってこそ、なんでしょーケド、ともあれ自分が歩んだ過ちを他の者に味合わせたくないとする、彼なりの厳しくも誠実で不器用な”優しさ”がどのようにして形作られたのか、それを描いた興味深い番外編ですねー。ロボットと言えど、「人に歴史有り」といったトコロですか。
「ああ、俺様はいいんだ」 「え?」 「<A-B>が凍結されたからな、俺様も開店休業だ。 ま、外伝の中から選ぶのは当然として、どこをチョイスするか迷ってみてコレ。キモはやはり160ページのコードの表情。余計な気遣いをされないようサバサバした態度で言いながら、それでもやはり内心の全てまでは押し隠せず表れた、困っているような悲しんでるような、なんとも言えないそんな表情。求めたハズの行き場を失い、これから何をすれば良いのかも不確かになってしまったその辛さ、その微妙な内心を静かに表現した絶妙な描写のひとコマがここにあります。 |