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感想・漫画編。

TWIN SIGNALツイン シグナル 17巻

著者:大清水さち

出版元:ガンガンコミックス


ロボットマンガもいよいよ第17巻。長きにわたって続いてきた本シリーズの最終章となる、Aアトランダムナンバーズ抹殺計画編がこの巻から始動。その辺の展開にともなって、とゆーかむしろ本誌編集部の内部政治的なアレコレによって、掲載誌がガンガン本誌からGファンタジーに移ったのも、今巻収録の途中から。あーそうだ、そのおかげで私自身もガンガン本誌の購読やめたの、大体この頃からだったなー ( ̄▽ ̄)

まぁそんな私個人の灰色気味な歴史はさておくとして、とうとう最終章突入となったこの巻ですな。クオータが企む抹殺計画に対し、”大人の都合”で全Aナンバーズの封印凍結が決められ、その一方的な決定、あるいは”理不尽”に対してシグナルや信彦がどうアクションを起こしていくのか、そーいった辺りが最終章第1部としての今回の内容。勝手に決められた運命、自らのチカラではどうにもできない事態に落とし込まれていくことに対して、その奔放な性格から憤りを覚え、立ち向かっていこうとするシグナルの描写は、まぁ少年マンガらしいストレートな感情表現の様ですが。そこんトコを他のロボット仲間の描写と並べて見てくとコレまた、本作の深いロボット考察が垣間見えてくるのが面白いトコでして。そのメイン部分は111話ですな。シンクタンクが決定したAナンバーズの封印、つまりは人間=自分たちの創造主が定めた事項に対して、重大な命令違反となる提案を持ちかけたORACLEサイド、ソレに伸るか反るかを決めていくロボット達それぞれの描写。まず何より、ロボットに本来持たされてる”刷り込み”として、「人間の命令には背かない」とゆーのがあるワケです。まぁ本作のロボット観って、かのアイザック・アシモフが定めたロボット三原則とは元からだいぶ違ってるんですけど、それでもやはり”ロボットの在り方”としてソコは基本守られてる要素でもあり。だからオラトリオの提案に手を貸すのは、本来明らかにソコと矛盾する行為なのです。で、ソレに対して。

まずコードから行きますか、彼は先にシグナルの決断を聞いてから自らの身の振りを決めました。この行動はつまり、人間クリエイターの判断よりもパートナー上でのメインロボットになるシグナルの判断こそを優先させた、だからサブロボットである彼はシグナルについていった、と。コレは人間の命令を無視したってより、ロボットとして自分に定められた役割を優先した結果なワケなのです。続いてエララ、彼女はシグナル&コードのメンテナンス役を買って出て命令違反組に加わったんですが。彼女の場合は、MIRAの調整機能は自分しか持っていないからと、看護ロボットに持たされた設定の一種であるロボットの整備をする者として定められた役目を果たすことを優先した結果で、そーゆう行動を取ったと。んでパルス、実はコイツの行動分析がイチバン分かりにくいんですが(微苦笑)、どーにかして道理を探ると、大きな危険がともなうだろうクオンタム達との戦いに対して、戦力の増員として、見方を変えれば非・戦闘員の護衛役として名乗りを上げた。この行動はつまり、ハードセキュリティー対応ロボットとして創られた自分の責務に従った行為になるワケです。そんでオマケ程度に挙げますとオラトリオ、彼はORACLEのデータと運営を守護するガーディアンとして、人間の命令に背いてAナンバーズを利用する=シンクタンク・アトランダムと組織同士の関係が悪化する=ORACLEにとって危険な行為であると分かりながら、それでもORACLEを維持するために必要だからとこの計画を動かした。人間の判断よりも、ガーディアンとしての使命をまっとうするべくして取った行動だ、と。

こーして他のメンツの行動原理を並べてみると、ひるがえってシグナルの描写がロボットとして実に特異なのが浮かび上がってきます。ってのも、彼は戦闘型として製作されたこと以外、コード達のようにコレと言った使命や責務を持ってるワケじゃないんですよね。だから本来は、人間の判断に逆らうのはロボットして非常にオカシイ行動になってしまうんですよ。いち主人公キャラとしては「何もしないでじっとしてるなんてイヤだ」と言って事を動かそうとするのに何も問題は無いんですが、あくまで彼はロボットですからね、ロボットとしての”刷り込み”に背くこの行為は、間違いであるとすら言えてしまうのです。125ページで若先生の発言に即刻噛みついたのもそのひとつですな、ロボットだったら言うことを聞くのが普通なんですよ。なのに彼は、プログラムに定められた役割などとも無関係に、人間のものではなく自分自身の判断にこそ従って行動を起こしていった。135ページでみのるさんが指摘しているのは、そーゆう特異性を見ての「面白さ」なんですよね。ロボットらしくないロボットなんです、シグナルの”在り方”は。ここんトコ、踏み込んで見せてこないだけで内実は深い考察に基づいて描かれている本作だからこそ、より一層に特異である事が理解できる部分でもあります。そしてこのシグナルの在り方、この先のラストまで重要な要素となって描かれていくワケですが…ソレはひとまず続巻で。

まぁ今巻は、ソコ以外にも前半部分での信彦とラヴェンダーの会話内容だとか、108〜110ページあたりの音井親子のヤツとか、159ページのハンプティ博士とクリスのやり取りなんかにも、密かな作劇・描写の”深さ”があったりするんですが、さすがに長くなりすぎるので割愛、今回のレビューはこの辺でー。



▽自薦名場面
 ― 138〜139ページ

 「うんうん、封印ですねい。しょーがねえでしょお。
  次クオータ君に勝てる保証はねーわけですから。負けたら修理代もかさむし、科学者の人の対面もありましょう。
  大きい君とぼくだけごねてもねえ」

 (大きいシグナルより言ってる事がオトナな感じだ)


 「――ちびは封印されてもいーのかよ」

 「嫌でーす。チョコ食いたいでーす

ビミョーにヤサグレつつも至極冷静に事態を分析する、ちびシグナルの述懐。…コイツ、本来ならこのマンガのマスコットキャラなのになぁ、なんでたまにこう、ザックリとした発言をブチかますんだろーか。そしてその言動に大した違和感も憶えないのが、コレまた珍妙であり。んで結局本音は「チョコ食いたい」か、フリーダムだなぁこの幼児。にしてもなんでコイツ、しっかり睡眠前の歯磨きをしてるんだろーか。ロボットだろお前。誰のしつけだ一体。信彦かなぁ?(笑)



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2008/01/12