感想・漫画編。
TWIN SIGNAL 10巻
著者:大清水さち
出版元:ガンガンコミックス
ロボットマンガもよーやく10巻目。コミックス全巻から見たら、これで折り返し地点も過ぎたかー。「A-Sの育ての母」こと、エモーション初登場。あと、姉のラヴェンダーが再登場。 さて、エモーションのレギュラー参加で、ますます賑やかさに拍車がかかってきた本作ですが。この巻のメインであるシグナルの子供時代は、地味〜にSF的考察が良く練られた内容だったりするんですよねー。このエピソードの基礎設定は、ロボットが"誕生"するのはその機体が現実空間で初起動した時…だけれど、ロボットの精神、つまり構成プログラムそのものは身体が完成する以前から存在する、とゆーもの。だからこそ、現実空間に存在しないエモーションがシグナルが小さかった頃を、つまりは完成途中でプログラムのみだった頃を知っていて、その頃に色々面倒を見ていたから「育ての母」を自称するに至った、と。人間だったら有り得ない"生まれる前"の出来事、現実世界ではまだ存在できなくても電脳世界では先に存在することになる、ってのを描いたのがこのエピソード。コレはまさに、本作の世界設定である「リアル」と「サイバー」の両方を描いて繰り広げられた、実にSF的な考察に基づいた作劇だと思います。 まさに、TSならではのSFギミックが活かされたお話…なんだけど、ここで実際にやってることって、実はいつもどーりのホームコメディなんですよねー。こんだけシッカリしたSF的・サイバーパンク的な設定を持ち出しているにも関わらず、物語の中身ではそーゆうのを感じさせず、むしろほのぼのした内容で展開していってるワケで。超高性能な特殊金属・MIRAだの、「リアル」と「サイバー」を行き来するロボット達だのが出てこようと、基本の基本はあくまでも、色んなカタチの"つながり"を描いたホームコメディ、ってのが実は本作の本質。リュケイオン編だのORACLE編だのアレコレやってきたけど、"基本"はあくまでコレなんですよねー、ツインシグナルって。 ほのぼのしてると言えば、本作の中の電脳空間描写も、どっかのんびりしてるんだよな。電脳空間っつーか、図書館の中の描写だけど。コンピュータの中の世界のハズなのに、オラクルは本をいちいち手で出し入れしてるし、要らなくなった古新聞(メールか何かか?)はちゃんとヒモで束ねて片付けてるし。もっとこう、空間上にホロモニター並べて処理するとか、そーゆうそれらしいことすればイイのに。でもやらないんだよなー。まぁ、設定読み込んでみれば、"こう"描いてる理由も大体分かるんだけど。でもやっぱ、どっかのんびりした描き方だよなー。だからこそ本作、SFエスエフした堅苦しいイメージがあまり感じられない、そーゆう良さがあるんですけどね。とは言え、"締めるトコ"ではちゃんと描いてるからなぁ。バランス取れてると思いますよ、つくづく。
「おお〜〜〜」 「しゃべらなければあげましぇ――ん。どうだ。ん?」 「でも…ぼく、おやくそくが… 大きい、シグナル、くんと… 「勝った」 チョコの山に屈するちびシグナルの図。レビューの本文とはまるっきり無関係なシーン選んだなー。よだれの海に沈んでいくちびが、単純にかわいいワケで(笑) つーか信彦はちびの弱点を知り尽くしてんなー。にしてもちびって、どっからよだれを生成してんだろ。基本的には、コイツもロボットなんだけどなぁ。ま、あんま気にしてたら"負け"だろーけど。 |