感想・漫画編。
TWIN SIGNAL 8巻
著者:大清水さち
出版元:ガンガンコミックス
ロボットマンガ8巻目。リュケイオン編に続くシリアス展開となる、ORACLE編に突入します。あ、キャラクターでは"図書館長"ことORACLE管理者・オラクルが初登場したね。 8巻のメインは、問答無用でORACLE編のストーリー内容。この巻からスタートするこの新展開によって、TSの舞台世界がまた大きく広がりを見せます。QUANTUMを名乗り登場したオラトリオのコピーロボット。彼との接触直後に起きた、オラトリオとORACLEとのリンク切断事件。A-O・オラトリオとしての本来の役割である、『守護者』の役目を果たすために、ORACLEに起きた異常事態を解決するために、コードやシグナルと共に電脳空間へと潜入をはかる。このストーリー展開が、SFらしいギミックの利いた多数の設定と相まって、実にドラマチックに進行していきます。これまでは、「ロボットと人とが共存する現実世界」だけで進行していった本作が、この巻からは「ロボットだけが存在できる電脳空間」も含めて描かれていくワケで。本作の持つ独自の魅力が、ここでまたグッと増しているのですよ。 コンピュータネットワークの内部世界である電脳空間に、自らのプログラムを入力させる(潜入する)ことで活動を可能とする、とゆー設定は、本作元来の「ロボット=機械の存在とゆー要素を存分に活用させた展開。コレ、SF作品としてはわりかし基本的な設定かもしれませんが、ロボットだからこそ電脳空間に直接入ることができる、というこの展開は、作中で強いた説明もしていないのに、とても説得力高く描かれてます。他でも、現実空間では鳥であるコードが電脳空間では人間の姿になる部分も、実に面白い内容です。現実と電脳とで起こる出来事はイコールでは無いし、イコールになる必要も無いというアイディアがあるからこそ可能となる設定が、ここには詰め込まれています。電脳空間内での彼らの活躍にも魅力は満載。なかでも131〜137ページの展開が"そう"でして、無限ループに設定を書き換えられた通路内部で、トラップの『ほころび』を見つけてソレを接続ケーブルを介してオラトリオが解析し、トラップの要を最強の攻撃プログラムこと『細雪』でコードが一刀のもとに断ち切る! この、短いなかでも存分に描かれた展開こそ、この巻における電脳空間描写の真骨頂と言うべきモノ。他のいくつかのシーンでも電脳空間ならでわの描写が盛り込まれていて、つくづく本作の魅力が広がりを見せています。 ORACLE編のことばかり語ってきましたけど。突入前の回もまた、シリーズの基礎であるファミリーコメディ的な楽しさに溢れたお話で、総じて魅力が盛りだくさんな内容。いやいや、つくづく私はツインシグナルが好きなのだなぁ!(大笑) でも実際面白いよ、このマンガは。ホントに。
「――おいこらシグナル!!」 「んにゅる 何すんだよ!!」 「悩むのはかまわねーけど…俺だって、うまれた時から格好良かったわけじゃないぜ。 「――前向きに善処します」 「せひそ――しなさい」 オラトリオとコードの"凄さ"を前に引け目を感じたシグナルに、兄から一言アドバイス。いままではどーにも反目してばかりだったオラトリオを、「本当はスゴいヤツなんだ」と素直に感じられるようになったのは、コレを境にしてからなんだろうなー。普段はなかなか見せない強さ・たくましさを示しながら、「最初から最強じゃあなかったさ」と語る"兄"の姿を見て、"弟"はまた一歩成長していくのです。 |