感想・漫画編。

TWIN SIGNALツイン シグナル 6巻

著者:大清水さち

出版元:ガンガンコミックス


ロボットマンガ第6巻。シグナルの"先生"こと、コードが本編に参戦。リュケイオン編もついに完結、大団円です。

さぁ、リュケイオン編もクライマックスってことで、ノンストップのまま物語は進行しております。ストーリーの勢いに乗って、各登場人物も余すところ無く"魅せ場"が用意されてるというスキの無さ。まぁ全員を追っていたらマジでキリがないので止めますが…何だかんだいってもやはり、主人公のシグナルに目が行きますね私は。信彦の危機を前に目覚める姿や、アトランダムの苦悩を理解してそれでも拳を交える姿などなど、少年マンガの主人公らしい、ヒーロー的な描かれ方が実に映えています。リュケイオン編そのものの主役は実質的にはアトランダムやカルマなんだけど、TSというマンガの主人公はやっぱシグナルなんだよなー。

さて、このリュケイオン編で通して描かれていた・描こうとしたのは、「ロボットゆえに抱く悩み」といったモノ。望んでいたモノとのあまりの違いによる、自らの在り方やそのギャップを前に苦悩するカルマと、おのれの過ちに気付きながら、それでも凶行を止められないアトランダム。当初は敵として立ちはだかった彼らも、結局のトコロ「ロボットとは人間の道具か否か?」という、造られた存在ロボットだからこそ抱かずにいられない問いに悩み苦しむ、被害者でしかなかったワケで。んじゃ、最終的な回答は何だったのかというと、それは若先生がシグナルに与えた「道具かどうかは自分で決めろ」って、ソコにあったように思います。道具であると受け入れなかったから、カルマは生き延びる手段を選んだんだろうし、道具なのだと思っていなかったから、アトランダムも使い捨ての駒にされようとした有様に怒りを覚えたのではないか、と。そしてそして、道具だろうと何だろうと、それでもシグナルを兄貴だと思っていられる信彦の存在は、同じ悩みに囚われかけたシグナルにとって、確かな"光"であったことでしょう。

……イヤ、まぁ、ね、なんだかんだとヘリクツこねくり回してっけどね、結局はこのマンガ面白ぇっつーコトが言いたいのですよ。理屈とかそんなんは、実はどーでもイイのよ。タダ単純に面白いんだよ。てか、グダグダ書いてたら言いたいことも余計ワケ分かんなくなってきたっつーの本音

余談。6巻に掲載されてるオマケの読み切り作品『Lime Light 彩都』、何気にこの作品かなり好きです。短くまとまっててテンポが良いトコとか、大正風な舞台設定とか、主人公・彩都サイトのキザなセリフ回しとか、ワリと全体的に私好みなんですよねー。シリーズ連載に似合うような作品とは正直違うようにも思いますが、もし機会があったら、大清水さんにはまた描いてもらいたい感じです。



▽自薦名場面 ― 140〜141ページ

 「ユーロパちゃんおきないんだって。
  ねー教授ー、わかせんせー、みのるママー、コンスタンスおばちゃん。
  直してあげてください。
  アトランダム君かわいそーだもん。ねー、えららちゃん」

ボロボロになったアトランダムを目の当たりにした、ちびシグナルのセリフ。これ、しゃべったのは確かにちびだけど、大きい方でも結局は(言葉は違えど)同じことを言ったんじゃないかなぁ、と。シグナルが最終的に思ったことは、「アトランダムが可哀想だ」という、たったそれだけのこと。だからこそ、シグナルの単純で純粋な優しさが溢れています。



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2005/05/31