感想・漫画編。

TWIN SIGNALツイン シグナル 5巻

著者:大清水さち

出版元:ガンガンコミックス


ロボットマンガ第5巻。リュケイオン編の中盤、あとシグナルのロボット兄弟、いわゆる『音井ブランド』の長姉であるラヴェンダーが初登場、ですな。

さて前巻に引き続き、物語はますます加速しております。深い復讐心に突き動かされるアトランダム、その企みを阻止せんとする若先生、不確かな記憶に翻弄されるユーロパ、対立する両者の狭間で揺れるカルマ、そんな彼らの葛藤を前にそれでも真っ直ぐな視線で立ち向かうシグナルと、それぞれに交錯する思いが実にドラマチック。「ロボットは人間の道具か否か?」という作品の根底的なテーマに触れていくのも、この巻からですね。この問いかけに対し、アトランダムたちは「しょせん道具でしかない」と悩み苦しむ中、シグナルと信彦だけは「そうじゃない」と答える。正直、子供ならではの悩みの無さゆえってトコもありますが、それでも「人間とロボットは兄弟になれる」とハッキリ言えるシグナルと信彦は、やはりこのマンガの”主人公”なんでしょうねぇ。

ドラマはさておき。5巻の見所は、なんといってもアトランダムそのヒト。アタマだけ状態だった前巻からついにボディを手に入れ、”色んなイミで”大活躍を始めるこの敵キャラが、まぁとにかく魅力的。シグナル・パルスのタッグでさえ敵わぬ実力をもち、特殊金属ミラの潜在能力すらも容易く引き出し、ひたすら圧倒的な強さでもって立ち塞がるこの存在感。バトルストーリーの面白さは敵キャラの魅力で決まる、とは良く言われることですが、なるほどリュケイオン編の面白さは、アトランダムというキャラクターによって引き出されていると言えましょう。やー、TSやっぱ面白ぇ。

じゃ、終わる前にどーでもイイ話。ちびシグナルといえば「です・ます」口調が特徴なんですが、そーゆう風にしゃべり出したのってこの巻(75ページ)からだったりするんですよねー。ちなみに「久々の登場」とのセリフがありますが、どのくらい久しぶりかというと、前巻から続いて4話ぶり、連載で言えば4ヶ月間出番が無かったワケで。そりゃーひねくれたセリフのひとつも言いたくなるわなー(なんとなく乾笑)



▽自薦名場面 ― 167〜168ページ

 「そんなにとどめをさされたいというのかな――シグナル!!
  髪を切られて不調な君に、私を倒せるのかね?」

 「へっ――
  あんたもぼくも、話しあいで決着をつけるタイプじゃないだろうしな」

 「いい科白セリフだ!! だが!! 負け惜しみにしか聞こえんね!!」

仕切り直しのあとの、シグナルとアトランダムの一騎打ち。セリフ回しそのものと、動きながらしゃべっているコマのカットとで、複合的にカッコいい感じがして好きなシーンです。場面的にはプラス4ページほどありますが、セリフ上のキリの良さをとってアタマ2ページだけ抜粋。ちなみに、私が『セリフ』という言葉を『科白』で表記するコトが多いのは、カンペキこのマンガが原因。いやホント色々影響受けてるよなぁ、このマンガにゃあ(大笑)



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2005/04/12