感想・漫画編。

TWIN SIGNALツイン シグナル 4巻

著者:大清水さち

出版元:ガンガンコミックス


ロボットマンガ第4巻。シリーズで最初の長編展開となる、リュケイオン編がスタートする巻ですね。

あーもーなんだ、いっそのことスッパリと言い切っちまいましょう。TSシリーズの実質的な本格スタートはこの巻から。田舎町トッカリタウンから登場人物がついに飛び出し、物語の舞台は機械の人工島である海上都市リュケイオンへ。そこで待つのは、ハーモニーやカルマをはじめとしたAアトランダムナンバーズと呼ばれる人間形態ヒューマンフォームロボットたち。多くの新しい出会いは同時に、シグナルたちにとっての最初の”強敵”、頭脳集団シンクタンクアトランダムが生み出した”最初のロボット”ことナンバーA-Aダブルエー・アトランダムとの、戦いの始まりをも告げることとなる… これまで続いてきたコメディ路線からついに足を踏み出し、いよいよ近未来的なロボットなどの設定や、キャラ同士の交錯からなるドラマチックなストーリー展開となっていく本作。いままでが悪かったワケでもないですが、このマンガが一気に面白くなったのはこのリュケイオン編から、といってもそれは間違いの無い事実でしょう。なにせ本誌連載でも人気が急上昇しだしたのがこの展開からであり、私自身もコミックスを集めようと思い始めたのがココからですからね(笑)

この巻から初登場となるキャラを、ロボット・人間合わせて列挙しても―― ハーモニー、ユーロパ、カルマ、マリエル、雷電ライデン、コンスタンス、アトランダム、オラトリオ、と…一挙に登場キャラが倍近くになったワケでして。その容姿とキャラクター性で数多くのファンを獲得したカルマや、事実上初めての悪役として立ち塞がるアトランダムなど、これら新キャラたちがとにかく魅力的。まぁ、マイベストキャラのオラトリオはまだぜんぜん出番無いのが玉にキズですが(笑) ともかくそんな多くのキャラたちが、たたみかけるようにして次々ドラマチックに展開していくストーリーを彩っていく。頭脳集団シンクタンクがたどってきた過去の出来事なども織り交ぜ、物語はスピーディーに、かつシリアスに進行。とはいえタダ真面目一辺倒になるでもなく、従来通りのコミカルな面も忘れずに。このバランスもまたイイ感じで、本当に”いちマンガ”として面白さが格段に上がっています。まさにターニングポイント。なんせ大清水さん自身、インタビューで「リュケイオン編は打ち切り覚悟で臨んだ」と発言してるほどですからねぇ。その意気込み、そして面白さたるや、推して知るべし。いやさ、読んで知るべし。



自薦名場面 ― 180〜183ページ

 「もう後はないぞカルマ!! さあ観念しろ…!」

 「私は戦闘に向いていないんですよ――」

 「さっさと出てこい! でないと切り裂く!!」

 「戦闘には向いていませんが――!」

   キ…ン

 「王手チェックメイト
  私、ダーツは誰にも負けたことがないんです」

4巻のラスト、パルスVSカルマ・第1ラウンドの決着シーン。両腕のブレードと両目のレーザーという、ただの戦闘型ロボットに留まらない強力な武装を持つパルス。それに対し、たったの投げナイフ1本で圧倒してしまうカルマ。驚くべき強さを見せつけつつパルスを制するカルマの冷たい微笑。やー、この市長さん人気出るのも分かるわぁ(笑)



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2005/03/23