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感想・漫画編。

 スパイラル 推理の絆 9

原作:城平京 作画:水野英多

出版元:ガンガンコミックス


推理のマンガ、とうとう第9巻。長らく続いたカノンとの対決も、今巻にてよーやく解決へと導く”推理”が終了、ここから続く重要な”攻略”への兆しを見せてきました。あと巻末に、小説版シリーズのスピンオフ的な短編マンガを収録。小説版って巻中の挿絵が無いから、くるみお嬢さんをシッカリ見られるのって、実はコレぐらいしかないんだよねー。

とゆーワケで、ココまで引っ張ってよーやっと「論理が暴力に打ち勝つ」状況が見えてきて、時間はかかったながらもココで一気に面白さが巻き返してきた本作ですが。この第45話で描かれた一連の、推理のために知恵を巡らせてるシーンって、すごく本作らしい場面だと思うんですよねー。ってのも、スッゲェ地味じゃないですか、この回って(笑) あとがきでも原作者自身ソレを認めてそー言ってるんですけど、輪を囲んで延々カノン攻略のための思考を巡らせてて、コレってひと言で表現すると「手続き」でしかないんですよね。でも、そんな地味さを理解していながらも、”作品”を描く上では絶対欠かせないとして踏み切ってこの、論理が組み立てられていく様を見せてきたのがこの回。どん底の事態を打ち破るために組み上げていった論理であり、そのために成された推理、そしてその解答。推理が本当に必要不可欠な事として、必然として用いられてるワケです。確かに本作、真っ当な「ミステリもの」からは明らかに道を踏み外してはいますが、「推理」とゆーモノを描く・描いている上では、類を見ないほどにシッカリした取り組み方をしていると思います。だからこそ、私は本作を「ミステリのマンガ」ではなく「推理のマンガ」としてるワケで、いま改めてそんな取り組みのカタチを描いているこの回が、実に本作らしい場面だなーとも思うのですよね。

とりあえず、この巻の最重要ポイントはそこらへんとして。もひとつ、今巻でポイントになってると思うのが、各キャラの歩に対する信頼の様子でしょーか。大雑把に分けると、理緒とひよのと浅月の3名に、そーゆー描写が取られてるんですけど。まず爆裂ロリータは、なかば無条件的に彼が事態を解決することを信じてるとゆーか。まぁ彼女の場合、以前の敗北あってゆえの現状で、これだけの信頼を置くのはあるイミ当然とも言えるんですけど。でもソレって神様でも崇めるような、どこか妄信的で危うさのある信頼なんですよね。信頼のカタチとしては正直悪いタイプと言えましょう。次におさげ娘ですけど、彼女は歩の持つ”ちから”がどれほどのモノかを知ってるから、その推理の力を使えと叱咤し、そのための時間を稼ぐことを買って出た、と。アタマから彼を信じてるって点では理緒と似たり寄ったりですが、それよりもコッチは実力を裏付けとした信頼であり、そーした面では真っ当な信頼の寄せ方だと思います。ラストにへたれメガネ(←全員に何か恨みでも、コイツってハナっから歩の能力を信用なんてしてないんですよね、実は。でも、この鉄火場で頼りになるのは最後に歩の推理力だけだと分かってる・知っているから、「お前しかどうにもできないだろ」と言って信頼することを決めた。期待はしてない、けど今この場で使えるのは歩の頭だけだと、彼に従う道を選んだ、と。他に何も手が無いから信頼するって、コレ、崖っぷちの状況でかける信頼としては何気に最も正しいカタチなんじゃないかと思うんですよ。言い換えればまさに賭けそのものなんですが、危うさも裏付けも無い上でのソレって、正真正銘の”信頼”なのではないか、と。最も歩を信じていない浅月が、実は最も信頼に近いところにいるって、まぁ正直皮肉的ですけど、別の見方をすれば素晴らしいことかもしれないとさえ思います。

ラストにもーちょい。カノンが勝手にまくしたてる「死の恐怖と絶望」を、133ページ、自分の腕を切って自ら迫ってみせたひよの。この自傷行為って恐ろしさを感じるほどに女性らしい行為だと思うんですけど、その一方で78ページではボディブロー食らわせてムリヤリ歩に言うこと聞かせるとゆー超男らしい様を見せるこの娘って一体。ベタにビンタ一発とかじゃねーんだもんなー、ウダウダ言ってんじゃねえ!!で土手っ腹に一撃、だもんなー。男らしい、どころかアンタもう漢らしいよ結崎さん ( ̄▽ ̄;)



▽自薦名場面 ― 155ページ

 (単なる油断か? 必然的な現象じゃないのか?
  いや…二度も続けばそれは必然だ。
  ――そうだ、あいつの心理的な隙を忘れるな。
  あいつはブレード・チルドレン以外は殺さない。それにこだわって――…


  ―――――ああそうか…  そういうことか!!

鳴海歩が真相に辿り着いた瞬間、わし舞い降りた」、その待ちに待った時。シーン的には続く答えを叫ぶコマを含めてこそ、なんだろーけど、自選場面としてはコチラのみで。なんつーかなぁ、すっごい地味な感覚・感性のハナシになるんだけど、ラストのコマの真実に到った思いの言葉が、何か待望の果てにやっと降り立った一瞬みたいなモノをこの上なく実感できるんだよねー。「遂にようやくやって来たか!」とでも言うような、そんな感じが。

さて、地を這うような思いの中で、諦めずに考え抜いた結果ついに知り得た論理の帰結、ソレは事態をどう収束させていくのか、そしてここで得た”答え”は歩をどう成長させるのか。それらの結果は、カノン編完結となる10巻にて。



第10巻>

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2007/02/26