感想・漫画編。

 スパイラル 推理の絆 8

原作:城平京 作画:水野英多

出版元:ガンガンコミックス


推理のマンガ8巻目。カーニバル編の中編。渦中の学園に続々と、主要な人物達が集まっていきます。新キャラには土屋つちやキリエが初登場。あとまぁ、重要人物が名前だけ先に出てきたな。

とまぁ、事件の真っ最中にも新キャラだの意味深なキーワードだので、少しずつ伏線をバラまいて物語を進めていってはいるんですけど…この巻は正直、そんな面白くもないんだよなー(苦笑) そりゃいちおう端々には見せ場もキチンと挿入されてますし、ストーリー展開としてはなかなかに丁寧な描き方で進めていってるとは思うんですけど。でも一方でなんつーのか、シナリオ全体としてはそう目立った進展があるでもないし、前巻のレビューでも同じよーなこと書きましたけど、物語の背景がまだ明確に明かされてないせいで、何が彼らをそこまで追いつめているのかサッパリ分からなく、ここら辺で「雰囲気を楽しむ」ことしかできないのがなんとも。や、その「雰囲気」だけでもワリと”読める”コトは読めるんですが、でもエンターテイメント的にいまひとつスッキリできるモノが無いと言いますか、えぇ。

つーかカノンやラザフォードの言動って、本作の関連別作品(ドラマCDだったか?)であったセリフなんですけど、「自分の不幸に酔ってる」って、コレが実に的確と言いますか(笑) 別物とは言え、同じシリーズにくくられる中でそんな身も蓋も無ぇ指摘はヒドいにもほどがあるってなモンですが、でもこの言葉が最大に的を射てるんだよなぁ。ちなみにこのセリフ、例のおさげ娘の発言だったり。つくづくクリティカルな娘さんデスな、あの嬢ちゃんは。



▽自薦名場面 ― 38ページ

 「…でもこれ、やっぱり注意を逸らす大ウソかもね。
  ――さぁ、どっちかニャ?

てなワケで、全体的にはさほど気に入ってないなか名場面を選ぶと、今回は収録のアタマ側がノミネートされたりする、と。カノン相手に真っ向のタイマン勝負(?)で挑む爆裂ロリータ理緒。本当は、8巻唯一にして最高に切れる知略戦の会話シーン全体が見ものなんだけど、全部はさすがに抜き出せないので、シメのセリフだけココは選抜。状況をわずかでも優位に持っていくため、知略を巡らせハッタリを利かせ、相手の動揺を可能な限りひかせるための言葉をもちい、そして最後に妖しくも問いかける少女の微笑み。やはりこの娘ばかりはつくづく”切れ”ます。カノンが感心してしまうのも当然ってなモノ。



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2006/12/05