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感想・漫画編。

 スパイラル 推理の絆 10

原作:城平京 作画:水野英多

出版元:ガンガンコミックス


推理のマンガ、ココでとうとう第10巻。長らく続いてきたカノンとの対決編もようやく終了。新キャラ登場ってんじゃーないけれど、作中でのリアルタイムであの鳴海清隆が姿を現しました。…や、声オンリーだから姿そのものは現してねーんだケドさ。

てなワケでカノンとの決着がこの巻の目玉です。つーかまぁ決着シーンを描くので全部終わってる巻なんすケド。ともかくも、この対決カードとその決着に至る過程、それらの描写は、4〜5巻で描かれたVS理緒の展開をさらにレベルアップさせて再来させたような内容で、まさに目の離せない戦いとなっておりますねー。大人数の主要キャラ達が舞台に登場して、各人が持つ技能をフルに発揮し、知略を全開に活かし、たったひとつの最終目標=カノン攻略を果たすため全てを振り絞って”戦う”その様! まぁココに来るまでにずいぶん色々と遠回りが長引きましたが苦笑、でもそんだけ長らく待たされたかいはある、そんな読み応えある展開になっております。

そんなこんなで、カノンという「暴力」を歩の「推理」が遂に打ち破るワケですが。状況的には何気にVS理緒とさほど変わらないこの展開で、ひとつまるで違っているのが、歩が構築した作戦内容なんですよねー。以前までは、目的達成のために誰か他者に協力を仰いだとしても、ケガを負わせるような手段は決して取らなかった・取ろうとしなかったのが彼でした。ですが今回は最終的に、まどかには自ら銃弾を撃ち、満身創痍であるひよの達にさえムリヤリ役割分担を割り振ってみせるなど、目標を果たすために協力以上のことを求め、実際にやらせてみせました。あえて悪い言い方をすれば、仲間を駒として使ってまで事を為したワケです。ソレは通常ならあまり喜ばしくはないかもしれませんが、でも鳴海歩という少年に対して見るなら、自らの中にある怖れを乗り越えて”たたかい”に挑んだとゆーことで、確かに彼の”成長”を見せた描写なのだと思います。あれほど嫌だったピアノを自分の意志で弾いた事もまた、自分の過去のわだかまりと向き合う姿を描いた重要なシーンのひとつです。これまでいくつかの戦いを経て、それでもまだ足りていなかった彼の”覚悟”が本当の意味で結実した、鳴海歩が真に本作・スパイラルの主人公になるために必要だった成長と決心、その意志の姿が、この戦いとその勝利によって描かれています。

さて、カノンとの戦いが決し、次巻ではこれまでの謎が明かされ、物語は全ての完結へ向けて足を運びます。神と呼ばれる男のもたらした暗い予言は、果たして現実となるのか、それとも。「戦争が終わり、世界の終わりがはじまった」その先で、歩は何処へと至るのか… 大きく大きく動いたストーリーは、再度目が離せない展開となってまいりました。



▽自薦名場面 ― 156〜158ページ

 ひとまずカノン・ヒルベルトは止まった。だが、兄貴の企みがこれで終わったはずがない。いったい兄貴は何を望み、俺達をどこへ連れて行こうとしているのか。…このままじゃまた、同じ事の繰り返しになりかねない。

 もうこんなもの見るのはごめんだ…

 ………――――――なら…

 顔を上げて――ろくでもない運命とやらに向き合うしかないか―――…!!

歩が本当の覚悟を決め、おのれの運命との対決を心に誓うその姿! 多くの身近な者たちが傷だらけになった・させられた姿を目の当たりにし、それでもなお終わりが何一つ見えない兄の企みに思い悩み、それらの暗い「悲惨」を前にして胸に宿ったのは、今までずっと避け続けていた事々への戦いだった。うつむくばかりだった彼がその「顔を上げた」、まさに上記にある本当に主人公になった瞬間がこのシーン。覚悟を決めた少年の姿は、誰より凛々しく強い意志にあふれています。



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2007/04/22