感想・漫画編。

Q.E.D. …証明終了 21巻

著者:加藤元浩

出版元:月刊マガジンコミックス


理数系ミステリマンガ、ココで21巻目。初めて本作を知ったときは、ここまでの長期シリーズになってくとは思ってもみなかったなー。こっからさらにまだまだ続くし、月マガ本誌で別の連載がスタートしたりもしてるしねぇ。

では「接がれた紐」。イキナリですけど後味悪いエピソードですねーコレ(大苦笑) まぁ殺人事件のエピソードで読後感のイイ回なんて、真っ当に考えてもまず無いし(あえて上げれば11巻・「冬の動物園」くらいか?)、そもそもこーゆう感想はワリと毎度のハナシではありますが、特に今回のは薄暗い感情(?)がにわかに上ってくるよーな気分です。強烈なほどの怨恨が殺害の動機ってのもあるし、シチュエーションが「雪に閉ざされた山荘での出来事」ってのも影響あるかなぁ、さらに加えれば被害者が2人も出たトコもそんな読後感になる要因でしょうか。それに2人目の被害者ってのも、具体的な殺意があったでなく、自分の犯行を隠蔽するために犯した殺人ですしね。この点ゆえ、たとえ第一の犯行にどれほど"自分の正義"があったとしても、この犯人には一切の同情の余地を覚えないワケでもありますが。ウン、私から言わせりゃあ、今回の犯人は結局たんなる殺人鬼であり、それ以上も以下もありませんね(キッパリ) そーいやこの事件、燈馬が未解決でいちど現場から離れたことについてめずらしく責任を感じたことに、軽い驚きを覚えたり。ふだんは起こった事件に後々クビ突っ込むハメになる(※主に水原の先導でw)だけだから比較的無責任気味だけど、今回は成り行きで行った先で起こった=半ば当事者となっていたから、そんな風に思ったってコトですかね。

「狙われた美人女優、ストーカーの恐怖 断崖の絶壁にこだまする銃声 燈馬と可奈はずっと見ていた」。1行で収まらねぇサブタイトルなんて初めてだヨ。初モノと言ったら「断崖の絶壁」なんて言葉も初めてタイプしたんじゃなかろーか…10年くらいのPC使用歴でこんな言葉使うの史上初だゾ…… まぁとりあえず、通称「火サス刑事のお話」である今回。コメディメインのエピソードは毎度、イイ意味で作者がやりたい放題やってる感じが出るから面白くて好きなんですけど、今回のコレはまたいつも以上にハッチャケてますねー(大笑) ミステリ同好会3人衆のときよりつっ走ってんじゃなかろーか、なんだよマンガの中でCMって(笑) ソレでもいちおう、事件そのものは意外と真っ当にサスペンスしてたりするのが絶妙なバランス具合の作劇です。この回、レビュー執筆してるいま現在放映中のテレビドラマ版でも取り上げられたお話ですけど、ドラマ観て思ったなぁ、このデタラメさはマンガだからこその部分がけっこう大きいなー、と。特に火サス刑事自身の動向、彼の珍キャラっぷりは実写化されるとビミョーに違和感覚えますねー。ハナシがややそれましたな、閑話休題。それはソレとして、彼の活躍(?)はストレートに楽しいので、ぜひとも再登場を願うトコロです。作者サイドでもそのへん考えてるみたいだし、期待がふくらむなー。



▽自薦名場面 ― 156ページ

 「警察に入って‥‥出会う事件は理不尽なものばかり‥‥
  カッとなって他人にケガをさせたり‥‥遊ぶ金欲しさに盗みをしたり。
  僕達の仕事はその犯罪を法律に従い処理するだけ。それだけじゃ切ないだろ?

  自分のやろうとしてる正義にロマンが欲しい。あのドラマはその夢をみせてくれるんだ」

火サス刑事かく語りき。まぁ彼のやってることは片っ端からスットコドッコイではありますけど、でもこのセリフは何気なく名言に感じるんだよなー。なんだかんだで、警察官ってのは市民の安全を守るイチバン身近な正義の味方なワケで、そんな"仕事"に対して誇りだと感じられる何かを求めるのは、そんな間違った考え方には思えませんヨ。まーこの人の場合、その大半が空回りしてるのが問題なんだけどさ(苦笑)



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2009/02/13