感想・漫画編。

Q.E.D. …証明終了 22巻

著者:加藤元浩

出版元:月刊マガジンコミックス


理数系ミステリマンガの22巻。毎巻各話、基本的に完全独立したオムニバス形式だから、"ココ"のスペースで書くことも特に見つからなくて困るなこの作品(←突然なにをぶっちゃけてんのか)

まず「春の小川」。サブタイトルはさわやかな感じだけど、まぁ内容は殺人事件エピソードらしく爽快さ絶無の後味悪ーい作劇でゴザイマス(笑いながらイヤな顔で) サブタイと繋がるラストシーンもまた薄暗い雰囲気だからなー、「季節が春になっても川の冷たさはまだ冬を忘れてない」って意味で言ってるワケですからねぇ、童謡の中での明るさなんて皆無じゃい。さて、今回はミステリ小説では良くある作劇描写である「叙述トリック」ってヤツをマンガ上で表現したモノですが、考えてみるとそーゆう作劇を取ったミステリ漫画って本作の他に例を見ない気がしますね。まぁ単純に私がそれほどミステリ漫画を読んでないだけかもしれませんけど。何か他で叙述トリック、いや、マンガだから描写トリックとでも言えばいいのかな?、そーゆうのやってる作品ってないもんですかねぇ。ところで全然ハナシ変わるけど、水原の弁当デリバリーって密かにまだ続いてんだな(笑) 始めたのって18巻のときだっけ。

つぎ、「ベネチアン迷宮ラビリンス」。「災厄の男」ことアラン登場回の3部作・完結編ですな(※完結したワケじゃありません) てゆーか、ボケはさておくとしても実際このエピソードから向こう、出番がプッツリ途切れてしまってはいるんですよねー。ヘンに(?)当人のお話としてはひとつケリがついちゃったから、出番作ろうにもやりにくくなっちゃったんでしょーかねぇ。まぁ確かに、落ち着くトコ落ち着いたら余計なやっかいごとを起こすこともなくなりそーではありますケド。お話的には、ワールドワイドにミラノを舞台にしながら、イイ意味でベタなハッピーエンドで納めてるトコがなんとなく日本的な感じを覚える、そんな作劇。にしても燈馬と水原、毎回毎度よくもまぁあんだけアッサリ海外まで出かけるよなぁ、どんだけフットワークが軽いんだコイツら。まぁ今回の場合、呼び出す側も呼び出す側ですが。一介の高校生をフラッとイタリアまで連れ出すなっつの、確かにあの人どっか常識が"飛んでる"よなー。でもまぁチョットしたトコですが、120ページ台での燈馬とアランの電話でのやりとりはナルホド確かにアタマの良い人らしい機転の利かせ方って印象を与えてくれますよね。なんのかの言っても、やはりアラン自身もタダの世話がかかるだけの人じゃないってコトでしょーか(笑)



▽自薦名場面 ― 142ページ

 「じゃ、もらっとくよ。あんたには必要ないみたいだ。
  お前さんはお金で物事を推し量るのが得意みたいだが、好きになるものはそれじゃ量れないよ。
  これを取り返したいと思わないなら、こんなもの永久に必要ないね

イタリアの母、かく語りき。今回は完全に名ゼリフとしてのチョイスだわな。このセリフ、「お金」の部分を「理屈」とか「計算」といった言葉で置き換えてもいいよね、本当の"気持ち"で望むモノにはソレだけじゃだけってことさな。



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2009/03/01