感想・漫画編。

Q.E.D. …証明終了 13巻

著者:加藤元浩

出版元:月刊マガジンコミックス


理数系ミステリマンガも13巻。この巻の作者まえがき、自分なんかにしてみたら原作者がいると思われてることの方が、意外に感じるんだけどなぁ。確かに本作、ミステリコミックとして完成度がシッカリした作品だから、ミステリ部分や物語を考えてる人間が別個にいても変ではないんだけど。でも普通はそーだったら、作者表記が連名になるだろー。…アレか、ゆでたまごみたいな解釈されてんのか。

では『災厄の男』から。どっからどー考えてもお前ビル・ゲイツが元ネタだろ、と全読者がつっこまずにはいられないアラン・ブレードの登場や、エイプリルフールを期限とした彼との対決、そして水原の純情乙女っぷりなど、色々混ぜ込まれたネタがそれぞれ絡んで面白い回ですな。特に3つ目、長編となった前回エピソードから続くお話についての最後のネタ(?)になるワケですけど、まさか彼女が心に引っかかってたとは(笑) イヤもうホント、お前らサッサとくっついちまえばイイじゃんとか、私なんかは思うんですけど、でもソレはシリーズが完結するまできっとお預けなんだろーなぁ。にしても、ウインドウズウイングスOSの開発黎明期に助っ人として関わってたって、ますますガキの頃が想像付かんぞ燈馬想。大体ソレって7〜8歳の頃のハナシだろ。そもそも大学MIT行く前の時期のハズだしなぁ。作者はコイツをどんだけ天才に仕立て上げる気なんでしょーか(笑)

次は『クラインの塔』。続巻の作者あとがきで述べていることなんですが、自分の中の”セオリー”を壊すために犯人を決めないままでプロットたててエピソードを組んだとゆーのがこの回。その辺のコトは後々になって明らかにされた(そーゆー試みをした事と、当該エピソードの種明かし。ちなみに、公表の機会は完全にバラバラだった)ワケですが、まさかそんな手段でキチンとしたミステリ作を、しかも読んでいてまるで違和感や破綻が見受けられないエピソードを作れるものなのかと、知った時は相当に、驚くと同時にその才能に感心させられたものです。それにこの回、トリックのキモがさり気なく、しかも何度も提示されてるのがまたウマいんだよなー。そこら辺については『災厄の男』でも同様ですが、そーした部分のヒント・手がかりの見せ方が上手なマンガだと、改めて思わされる両エピソードだと思います。

 

▽自薦名場面 ― 73〜75ページ

あー、今回の選出、明確なセリフがいっこもないので抜粋ゼロで。…久しぶりにやったなぁ、こーゆーの。ちなみに当該シーンは、73ページの5コマ目から75ページの3コマ目まで。この回で燈馬が”勝ち”を収めた要因って実は、客船に漁船を一隻近づけさせる算段を付けただけなんだけど、そのただ”一手”のみでアランの前に悠々と現れ、ソレによってもたらされる勝利を確信した自信たっぷりな笑みが、何気に印象強い場面なワケですよ。



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2007/03/06