感想・漫画編。

Q.E.D. …証明終了 11巻

著者:加藤元浩

出版元:月刊マガジンコミックス


理数系ミステリマンガの11巻。作者まえがきでも書いてるけど、次巻との兼ね合いのせいで夏と冬とのエピソードが収録されてるとゆー季節感のデタラメな巻(笑) そーいやこの巻は、どちらの収録とも殺人事件がネタだなぁ。めずらし〜。1巻以来じゃないのか?

んじゃ、まずは『寄る辺の海』。なんつーのか、まぁ基本的に殺人事件を多くの回数取り扱うミステリマンガなんだから(とはいえ、本作は他と比べてその比率が特異なほどに違うのも特徴だが)、そーゆうのも当たり前ではあるんですが、それにしても後味が悪いとゆーか救いが無いエピソードだよなー、この回(苦笑) このマンガ、のーてんきな時はひたすらコメディに走るけど、たまに後腐れの悪いったらないお話も挟んでくるんですよねー。今巻も、収録2作を合わせればその辺のバランスも良好ではありますが、このエピソード単品だけだと読後感がどーにも。ま、そこらへんを払拭するのが、ラスト95ページの水原さんのセリフなのかねー。ところで、40年前の事実についてのくだり、何か今回のはいつもの「事象証明」よりは「推測」の色合いのが個人的に強い印象なのは、なんでだろーか。語りそのものは普段と変わらんのですがねぇ。

お次は『冬の動物園』。なんか知らんがファンタジーなお話ですな(笑) 何がファンタジーかって、燈馬くんが幽霊を”ありモノ”として行動してるのがもうファンタジー以外の何者でもないし。ともあれ、殺人事件モノながら、コメディ路線の展開・描写のおかげで重っ苦しさはまるっきり無く、それゆえ収録前半とイイ具合にバランスが取れてる面も強いお話です。起きた事件は、怨恨からの殺人とソレをあがなうための自殺とゆー、よくよく考えたら真っ黒一直線なナカミなんですけどねー。



▽自薦名場面 ― 128ページ

 「‥‥‥」

 「‥‥‥」

 「なんで急に動物園に‥‥‥」「私の前で動物園って言うな!!」

 「なんなんですか!?」

 「どーしても来なきゃいけない気がしたのよ!!」

冬の動物園でのふたりのやりとり。イヤ、ふつー殴るかオイ(大笑) 果てしなく理不尽だなー、そら温厚な燈馬もめずらしく声荒げるよ。見た目の事実だけ取ったら、このシチュエーションってぶっちゃけデート以外の何者でもないんだけどなぁ、ムードのカケラなんてナノグラムも無ぇしな(笑)



第12巻>

<第10巻


<<コミックレビュー



2006/11/13