感想・漫画編。

Q.E.D. …証明終了 3巻

著者:加藤元浩

出版元:月刊マガジンコミックス


ミステリマンガ第3巻。このマンガでは極めて数が少ない、サブレギュラーのロキが初登場する巻ですね。…え、エバはどーしたって? だって彼女めったに出てこねーし。

全体的な寸評は……まーさほど大したことも浮かびませんなぁ。順調に巻数重ねて、順調に面白くなってきてるっつー、そんな程度のモンですね。や、別に不満があるんでは無く。

んじゃ各話の感想。まずは「ブレイクスルー」ですね。ミステリ的な作劇にはしていながら実質的にはキャラクタードラマであり、燈馬の過去が明らかにされるといいながら実質的な主役(もしくはスポットキャラ)はロキ&エバだという、意外と本筋とはズレた位置づけっぽいエピソード、という(笑) や、皮肉っぽく書いてますけど別に問題があるんでも無く。むしろ、燈馬・可奈・ロキ・エバという、本作のメインキャラたちの関係構図(表面的な部分と内面も合わせたソレ)を描くことに主軸を置いた回ってことで、QEDというシリーズ作の序盤としては必要であり同時に重要なエピソードだと思います。難しい言い回しすると、「過去からの解放と現在・未来の選ぶ道」って感じですかね。少なくとも、登場人物たちにとっては”必要なお話”だぁな。

では次、「せた星図」。カバー折り返しの作者感想にもあるとおり、「重たい話」ってよりは「悲しい話」ですね。劇中の燈馬くんのセリフにもあるとおり、「誤解により狂った歯車が生んだ悲劇」といいますか。そーいった心理描写の盛り込みもさることながら、アレコレ張り巡らされてるミステリ部分の各種ギミックや、星座関連のうんちく話などなど、一本のエピソードとしてはコチラの方が完成度では上だと思います。別に「ブレイクスルー」がきにいらんってんじゃないけど、読み切り話としては「褪せた星図」のほうが出来は良い、と。ページ数も20ページぐらいコッチの方が多いですしね。……や、マジメなハナシ20ページ差ってかなりデカくないか。この格差は何事。連載時とか、なんかあったんか。



▽自薦名場面 ― 71〜72ページ

 「僕も迷ってたんだ!! 辞めようかどうしようか!!  エバは僕の背中を押しただけなんだ!! ――もう、終わったことなんだ‥‥
  ロキ言ったよね‥‥自分を理解わかってくれる人をずっと探してたって。だったら‥‥大事にしなきゃダメだよ‥‥」

めったに自分の本心を語らない燈馬が、およそ初めて胸中を明かしたシーン。そういうイミでは、なかなかに貴重な場面です。ま、ソレとは別に、自分のことを理解してくれる存在がいるって、簡単には巡り会えるもんでもないし、もしいたとしたら、それってとても大切なことだよなー。



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2005/05/18