感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 32

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ第32巻。青海のジャヤから始まり、遥か白々海の空島・スカイピアにまで広がった冒険のエピソードも、この巻で堂々の完結。…24巻から連続したストーリーだったんだよなー、つくづく長いよなー。まぁ、この後に控えてる長編がコレ以上の壮大さだったりしてるんだが ( ̄フ ̄;)

何はともあれ、空島編のラストでゴザイマスな。この一連の物語に横たわる様々な背景・実状その他諸々を、黄金の鐘/シャンドラの灯が再び鳴り響く/歌う、ただそれ1点に集約して全て解決に導いているその作劇は、相も変わらず見事という他に無い構成だと言えましょう。遠い先祖との”決着”を果たすため黄金郷の真偽を求めるクリケットのおやっさん、ひとつの災害をキッカケとして延々400年も続いた空島の民とシャンディア達との確執、遠き親友との誓いを果たせず無念のまま死んでいった大戦士カルガラと探検家ノーランド、そして遠い空島へと導いてくれた友達に黄金郷の真実を伝えようとしたルフィ達……ザッとおおよそで上げると、空島及び黄金郷を巡ってコレほどの人々の思いが錯綜していたんですけど、これらが全て、鐘が鳴るその瞬間に解消したワケで。こんだけややこしい事態が、たったひとつのイベント(?)をトリガーにして一気に終わるってのは、カタルシスの面でも当然なんですけど、お話自体がまず呑み込みやすくてホント良くできてますよねー。複雑なドラマを描きつつも、どんな読者でも理解しやすい構成を兼ね備える、少なくとも両立させようとしているその姿勢。改めて本作が、幅広い年代から支持を受けるマンガであるとゆーその要因を、納得する次第ですな。

そして、大きなエピソードがひとつ終わるたびに、シリーズ全体に横たわっている壮大なシナリオあるいは謎がひとつずつ明らかにされていくのが、このONE PIECEとゆーマンガの特徴でもありまして。海賊王ゴールド・ロジャー、否、ゴール・D・ロジャーが歴史の本文ポーネグリフの古代文字を理解し扱い、そのテキストを「最果て」へと導いていたという事実。ソコから推測された、ロビンの求めている真の歴史の本文リオ・ポーネグリフの真相およびその在りか。七武海・ドフラミンゴが語る、”新時代”なる不気味な流れ・・。過ぎ去った世界の歴史には何があったのか、かつて「この世の全てを手に入れた男」は何を知っていたのか、そして今現在の世界には何が起こっているというのか。麦わら海賊団の冒険と平行して描かれる、海の世界の物語、これらは如何なる結末へと導かれていくのか。…なんちゅーかまぁ恐ろしいのが、50巻を目前にひかえている本レビュー執筆時点でもまだ分かってねぇことの方が多いって事実でして(笑) そもそも海賊王からして、世界設定上の超重要人物なのに判明してる事が少ないですからねー。いま分かってるコトって、正確な本名と没年ぐらいだからなぁ、んで今巻で古代文字の導き手でもあったってぐらいか。………長いなぁ……… まぁ本作の場合、ホント純粋に長引いてるってだけで、無闇な引き延ばしとかをやってるワケでも別にないのが、ある意味スゴくてある意味ロクでもないんですけど。



▽自薦名場面 ― 148〜149ページ

 「なァ、おめェら………
 
次ァ、どんなロマンを追いかけようか」

真実を知ったその後、猿山連合軍に語りかけるモンブラン・クリケット。何年も追いかけ続けたロマン、ノーランドが見たと言う黄金郷がどこにあったか。その”夢”が終わって彼の胸を響かせたのは、次なるロマンを追い求めようとする絶え間ない冒険心だった…! いやー、改めてクリケットのおやっさん、根っからの夢追い人、いつまでも先を見続ける”海賊”という人種なんだろうなー。不適に同士を振り返るその笑みは、夢と冒険を”かて”に生きる人間の表情そのものだもの。なんつーかオレ、本作ではワリと年配キャラにこう、弱い傾向にあるな(笑)



第33巻>

<第31巻


<<コミックレビュー



2007/12/06