感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 29

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ、いよいよ第29巻。空島を巡るサバイバルは、ついにストーリーの中核を担う黄金都市・シャンドラに到着。好例の扉絵シリーズではエース編が開始したけど…あの人、左腕のタトゥーの「S」にバッテン入ってるって入れ墨彫り間違えてんのかよ(笑) 確認のために前のコミックス振り返ったら、初登場時からそーなってました。芸が細かいなぁ…

てなワケで、物語進行は引き続きバトル展開ですけど。個人的にこの巻は、神隊サイドのトップ2名、ゴッド・エネルとオームの言動が興味深いと言いますか。順番にオームから、36ページ前後でのチョッパーとの会話シーンのアレ、まー船医さんのリアクションどーり言ってる内容はカンペキ危険思想そのまんまなんですけど(笑)、幸福を欲して時を重ね、それでも力の無さゆえに不幸に墜ちる、無為ばかりで救いの無い”生”のなかで唯一確かな救世、それは死ぬことって。や、極限的な考え方なのは確かなんだけど、一応これはコレで宗教的観念のひとつではあるんですよねー。まーホント、死にゃあ誰でも平等ですから、死=救いってのは”有る”のですよ、案外マジメなハナシとして。つってもだ、人間そうそう死ねっつって死んでもおれんから、人生難しくて面白いんですけどねー。

もひとり、エネル様ですか。ゴロゴロの実の雷人間とゆー、コレまでに遭遇してきた能力者達のなかでも群を抜いたエネルギー・攻撃能力を持つ者ゆえか、他と隔絶した意識でもって空の国を自分の思うままに操ろうとするエネル。雲の上の国などではない、神なる自身に相応しい新天地に向かおうとしたり、空に人間が住まうのは自然に反するとして、空島そのものを消し去ろうとするその野望のスケールとゆーか。「神などとはこの国の長の意味しか持たない」と叫ぶ先代の神 ガン・フォールに対し、「それは過去の話だ」とまるで耳を貸さないエネルは、もう完全に認識が違ってしまっているってコトなんでしょーね。まさに「ヒト」と「ヒトから超越した者」と言いますか。ま、この神様をどう打ち倒していくか、次の巻ではソコが見物となっているのですけど(笑)

…ふと思うに、SBSコーナーでも尾田さん本人述べてますが、こーゆー宗教的ネタをサラッとマンガに取り込めるのって、宗教・信仰に対する観念が低い日本だからこそ可能なエンターテイメントのモノ作りなのかも知れませんねー。日本は国家文化的に神道・仏教が基礎的な信仰のハズだけど、そのへん意識してるヒトって滅多にいませんし。私自身の場合でも、家系の上では確か真言宗なんですけど、別に仏壇に手ぇ合わせる時そんなコト考えもしないしなー。ソレが悪いか良いかは置いといて、なんとも自由とゆーか、信仰心が無くはないけどそのへんテキトーな文化ですよね、日本って。



▽自薦名場面 ― 187ページ

 『お前が消えろ

 「………… 不届き

神を名乗る男を前に、四者四様でその”牙”を向ける! ま、今回は単純に、この決めのシーンの格好良さがお気に入り。エネルの切り返しもなかなかなんだよなー、”神”に対してその言動は、確かに不届き者そのものだろーて。



第30巻>

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2007/10/28