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感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 23

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガの第23巻目。本シリーズでは第1となる長編展開ストーリー・アラバスタ編、この巻を持って遂に堂々の完結。…まぁホントは次巻冒頭に、まだちょこっとエピローグが残るんだけどな(笑)

ともあれ、砂漠の王国を舞台にした麦わらの一味と王女ビビとによる一大冒険シナリオは、これにてピリオドが打たれることとなります。仲間ビビの大切な”宝”だからこそ、アラバスタ王国を救うため全力でバロックワークスの野望を阻止しようと奮闘する麦わら海賊団。王国の守護者として、王家の敵を打ち滅ぼすものとして、なによりもビビの”兄”としてその身を挺して爆弾から国を守ったペル。それら多くの犠牲の上にあっても、戦いの狂気にのまれ剣戟を止めることない国民たち。彼らの耳には、砂漠の王女の悲痛な叫びも届きはしない。その全てはMr.0ことクロコダイルの謀略のうち。その卑劣なる男の野望を遂に打ち砕いたのは、麦わらのルフィが放つ最後の大技・ゴムゴムの暴風雨ストームだった―― こーしてクロコダイルが敗れ去り、ソレと同時に砂漠に舞い戻った奇跡によって戦争は終結、ストーリーはそのままの流れで完結へと向かっていきます。この終わりへ至る展開描写、クロコダイル撃破をキッカケとして全ての状況を一気に収束させていった作劇は、小難しくややこしかったストーリーをキレイサッパリ収束させていて、カタルシスの効果がバツグンに働いていますねー。そこにはようやく雨が戻ったコトで、届かなかったビビの声が皆に届いて、そしてコブラ王が王の威厳を持って戦争を終わらせた。その全てのキッカケは、クロコダイルが破れたそのとき、つまり「国から雨を奪った男」が倒れた瞬間だったワケで。ラスボス撃破をそのまま状況終結に導いた点は、やや強引なトコロも感じられるものの、それでも上手いと思わせる作劇ですな。

そんなこんなで、アラバスタ編エピローグ全体の主役は、ラストシーンのソコまでを含め、ビビその人ではあるのですが。その前に重要なものとして、海賊 モンキー・D・ルフィVS七武海 サー・クロコダイルの最終決戦の内容があります。クロコダイルが駆使したありとあらゆる知謀・策略・戦闘能力の全てを凌駕して、最後にとうとう勝利を収めたのはルフィの方だった…まぁ一連の流れをザッと語ると、両名の対決はこんなモンでしょーかね。決着前の展開なんかは、ほとんどルフィの根性だけで戦闘が継続したよーなそんな印象の拭えないトコもあります。でも、その前に。決着の前にあった彼らのやり取り、53〜55ページで描かれた事。この時のクロコダイルのセリフ。きっとこの男にも、かつて海賊の高みを、海賊王を目指した時代があったのでしょう。だけども、グランドラインという”領域”は、彼にとってその”野望”を、くだらない適わぬ”戯言”にしてしまった。彼は紛れもなく七武海たるに相応しい大物海賊ではあります。でもその上で彼は夢に破れた男でもあるのです。そのクロコダイルに、ルフィはあの状況でおれは海賊王になる男だ!!!!と言い切った。野望に折れた者の前で、ルフィはおのれの真の野望を言い放つことができたのです。――209話での決着の場面、本当ならばクロコダイルはルフィを倒すために、最大攻撃技の『浸食輪廻グラウンド・デス』こそをたとえ自滅するとしても放つべきだったと、私は思うんですよね。でも、ルフィの最後の大技・『ゴムゴムの暴風雨ストーム』に対し、クロコダイルが撃ったのは中級技の『砂漠の金剛宝刀デザート ラ スパーダ』だった。捨て身で挑んできたルフィに対し、結局最後までクロコダイルは保身を図っての攻撃しかできなかった。そのぶつかり合いがもたらした結果は…散々語ってきた通りのことです。

夢に負けた男に対して、おのれの野望を真っ向から言い切った男。あらゆる手段を使ってきた男と、そのことごとくを打ち砕いてみせた男。決戦の場で保身を図った男と、自らを省みず命がけで立ち向かった男。”世界の海”の中に置いて「七武海」の称号を持つ男に向けて、それを越えて先へ行くと、全ての高みたる”王”の座に至ってみせると叫んだ男。

何度も言います。クロコダイルは、七武海の称号に相応しい、高いカリスマと悪徳の野心を持つ強大なまでの”海賊”でした。…そう、それはもはや過去形で語られる事柄です。サー・クロコダイルは今やもういない。彼は敗れたのだから。いまはまだルーキーと呼ばれる域でしかないかもしれない、モンキー・D・ルフィという”海賊”の前に。ルフィVSクロコダイルの真の結末、それは紛れもなく、若き海賊がその強い信念を持ってして七武海を破り越えていった、その様を描いたモノだったと私は感じます。



▽自薦名場面 ― 226〜227ページ

 これから何が起こっても 左腕のこれが

   仲間の印だ

そんなこんなでアラバスタ編最終巻、その最後の自選名場面を飾るはコレ! 本編ラストの見開きシーンを選抜!! たとえ言葉を交わせなくとも。たとえ別れを告げられなくとも。高く高く突き上げた左腕に刻まれたたった一つのマークこそが、彼らと彼女らとを繋ぐ偽りの無い絆のカタチ。”おれ達”を確かに結びつける仲間の証。

そうして彼らは”次”へと向かう。麦わらの旗を掲げる海賊達は、新たな冒険を求め海原へと船を漕ぎ出して。砂漠の国に生まれ育った王女は、愛する国を蘇らすため砂の大地に駆けだして。アラバスタ編、これにて堂々の完結。そして物語は次なる舞台へ続く!!



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2007/07/04