感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 22巻

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ第22巻。激動の長編展開・アラバスタ編も、いよいよファイナルラウンド。VSクロコダイルの、あるバーナ宮殿での2nd、そして地下宮殿でのファイナルラウンドが描かれます。

さぁ、決戦の地に集まった者達によって、物語はいよいよの盛り上がりとでも言うべき展開を見せてくれてますが。そんな渦中のキャラクターの中にあって、やはりクロコダイルの、強力な悪意持つ大ボスとしての魅力はココに来てまだ昇っておりますなー(笑) 命を賭して立ち向かったツメゲリ部隊をまったくの歯牙にも掛けず、”アラバスタの守護神”であるチャカすら瞬殺する実力、コーザなどBWバロックワークス社の影で踊らされていた人々には嘲りの高笑いを浮かべ、最後まで抵抗の意志を貫こうとしたビビにも残酷なひと言を告げて突き落とす。パートナーであったミス・オールサンデーすら「ハナから信用しちゃいない」と言って慈悲の欠片も無く切り捨て、ただただ自己の私欲を果たすためだけに全ての者達を利用し・騙し・何もかもを奪おうとする”海賊”、それが王下七武海を名乗る彼の姿。

そんな巨悪の存在に対し、幾度でも果敢に立ち向かっていくルフィは、我々読者にとって確かなまでに「ヒーロー」として映りますなー。もっとも彼本人は至極単純に、仲間であるビビを助けたいから、そしてクロコダイルをぶっ飛ばしてやりたいからとゆー理由だけで戦っているだけで、その意志・意欲には悪を倒す正義なんてモノはカケラもありはしないんですけど。だからこそ、ルフィは「正義のヒーロー」などではなく、言ってみれば単なる「ヒーロー」なのですよねー。シナリオ構図では「善と悪」かもしれないけど、決して「正義と悪」とは違うワケです。数巻に渡って続いている、麦わらのルフィVS七武海・クロコダイルの対決は、双方の差異を見せることでその魅力を強く描き出していますが、この事については忘れずに置きたいポイントだと思います。

王家を滅ぼし新たな王座を手に入れんとするクロコダイル、その企みを知りつつも実力の無さゆえに”正義”を貫けない悔しさを噛みしめたたしぎ、クロコダイルとの協力関係の裏で何らかの目的を見え隠れさせるニコ・ロビン・・ ・・・、道連れを選んでまで国王としての誇りを貫こうとするコブラ王、そうした彼らの思惑以前に仲間ビビのため・おのれの信念のために戦いを続けるルフィ。全てを壊す砲撃のタイムリミットは、そのままアラバスタ王国のタイムリミットとなり、決着の時は目前に迫る。スモーカー大佐が残した「時代の節目にはこういう事態が必ず起こる」という言葉……さて、この国の行く末は何処へと向かうのだろうか。砂漠の国の大決戦、次巻いよいよ完結です



▽自薦名場面 ― 62〜65ページ

 「―――――――

  ―――バカな…」

 「クロコダイル〜〜〜〜〜!!!!!」

まぁ色々と迷うんだけど、今回はココ。お姫様プリンセスの危機に、遥か天空から舞い戻る我らが海賊王の雄叫び!! ルフィの魅力とゆーか、ヒーロー的なカリスマ性が、まさに「ドン!」と描かれた見開きページ。これから再開される決戦を期待させる、カタルシスをぶっ飛ばす”パワー”を持った場面ですなー。



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2007/05/06