感想・漫画編。
ONE PIECE 20巻
著者:尾田栄一郎
出版元:ジャンプコミックス
海賊マンガ、ココでやっとこさ第20巻。VSクロコダイルの第1ラウンド、とうとう激突する国王軍と反乱軍、そして首都・アルバーナへと集結していく役者達! 激動のアラバスタ編、長きにわたる「決戦」の始まりです。 てなワケで20巻、まずは麦わらのルフィVS七武海クロコダイルから幕開けでゴザイマスが。両名の激突1回戦目となるこの戦いは、ひとまずはクロコダイルの圧倒的なほどの強さを見せつけて、ルフィの完敗ってコトで決着がつきましたねー。スナスナの実の持つ、まさに「魔力」としか言い様のないチカラを前にしては、いかなルフィと言えどもまったく手が出ず、互いの激突にせよユバの行く末にせよ、完全にもてあそばれるまま一方的な”ゲーム”を展開されるという。これこそが七武海の持つ実力であり、これこそが偉大なる航路という”領域”だということを、たとえセリフが無かったとしても45ページの描写だけで、雄弁に語っているようにさえ感じられます。ホント、「歯牙にもかけない」とはこの時のクロコダイルをして言う言葉、だよなー。 そしてそして、各クルーもまた決戦の地にて、それぞれの戦いを開始するワケで! 各スポットで対決カードは早々に組まれてきてますが、まず対決が描かれたのはウソップ&チョッパーとMr.4&ミス・メリークリスマスのチーム戦。麦わらの一味にあってはどーしても、一歩も二歩も及んでいない実力とヘッポコ気味なキャラクターのせいで、まぁ大概の読者は彼らウソッチョ組の戦いに期待はしてないんじゃーないかと思うんですけど。でも、一味の中でウソップを強力に”買って”いる私としては、この対決も充分に見逃せないモノですねー。そら確かに、ウソップは弱いでしょーよ。ランブルボールという切り札を持っているチョッパーよりも、戦闘の実力において劣るってのは、認めざるを得ない点だと思います。だけど、そんな弱い彼であっても、他者の誇りを侮辱することや何より仲間をあざ笑われるようなことに対してだけは、誰よりも怒りをあらわに立ち向かおうとする。ソコはまぁ、もちろん他のクルーも大なり小なり持ち合わせている部分ではありますが、でも戦闘能力が無かろうとも誇りのために戦うことをいとわない彼の姿は、まだ及んでいるかどうかは分かりませんが、ウソップ自身が目指している「勇敢なる海の戦士」の姿に最も近いモノなんじゃないかと思うワケです。今はまだ、強敵を前に逃げたそうとすることも多々あるけれど、おのれが信じるものの限りに必ず立ちあがる漢、それがウソップ。この在り方が貫かれているからこそ、信念の海賊旗を掲げる海賊として、私の目には彼が確かなまでに映るのです。
「いいかチョッパー、男には!!! ――仲間の夢を、笑われた時だ!!!! ルフィは死なねぇ。あいつはいずれ”海賊王”にきっとなるから、 海賊ウソップ、「男」を叫ぶ!! 今回は特別的に、他を全部すっ飛ばしてウソップのセリフだけを抜粋。まぁこのシーンが気に入ってる理由はレビュー本編でイイだけ語っちゃってるんだけど、やっぱこの巻はココを選んでこそ、なので。えぇ。麦わらの一味のみならず、ルフィと出会ったことのある人達は誰でも、彼がいつか海賊王になることを信じてるんだけど。その中でも特にウソップは、本当に言葉に出してまで彼がそこに到ることを信じてるんだよねぇ。自分自身でも海賊としての誇りを確かに抱きつつ、それでもウソップがルフィを船長と認めてメリー号に乗っているのは、そんな強い信頼があるからこそなんだろーね。実はこの辺、18巻で白ひげについて語ったエースとほぼ同じ心情なんだよなー。 |