感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 19巻

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ、いよいよ19巻。クロコダイルとのファーストコンタクト、反乱軍勢の蜂起開始、そして対決・第1ラウンドを控えての”ひき”と、アラバスタ編序盤のイベントがたたみかけるように進行真っ最中。ところでこの巻、なんか知らんけど表紙とカバー裏とで違う絵ぇ載っかってんだよね。なんでまた突然。単にたまたまやってみただけ、かなぁ?

てなワケで、本格的な激突を前に、我らが麦わらのルフィと七武海・クロコダイルとが面と向かっての対面をするってのが、まぁこの巻のメイン部分になるんですが。いやはや、全巻から引き続きつくづくクロコダイルは悪いヤツですねー。トトおじさんを筆頭としたアラバスタ国民については今更言うに及ばず、コブラ王やチャカ・ペル率いる国王軍勢を巧みな罠で騙し、コーザを筆頭とした反乱軍達も周到な計画によって思うままに操り、考えようによっては自分の部下であるバロックワークスの者達さえも偽って、おのれの目的ただひとつを果たそうとするその悪徳の様! 怒りに燃えるビビを前にしながらまた、自分の計略の絶対性と優位性を思い知らせ、彼女の無力さと絶望を痛切に味わわせて、ひたすら私欲のため全てを奪おうとする彼の悪行は、あまりにも圧倒的であるがゆえ、確かなまでの魅力を読み手に知らしめてくれるのも確かなトコロだと思います。やー、我らが麦わらの一味はナルホド、少年マンガ・ONE PIECEとして明確に「正義の味方」であり、その船長キャプテンであるルフィは「正義のカリスマ」なんでしょーけど、ソレに対するクロコダイルもまた、完全無欠の「悪のカリスマ」として立ちふさがってくれてんだよなー。

さてさて、手の平の上で踊るすべての者達をあざ笑いユートピア作戦を実行に移していく中で、Mr.プリンスことサンジの機転が彼の計画にわずかな狂いをもたらし、それでもいよいよ激突しようとしてしまうアラバスタ国王軍・反乱軍の両勢力。スモーカー大佐率いる海軍さえも渦中に加わって、アラバスタの「長い1日」はどのような結末を迎えるのか。激動のアラバスタ編、いまだ中盤でございます…!



▽自薦名場面 ― 138〜140ページ

 「ビビ!!! 何とかしろっ!!! おれ達をここから出せ!!!」

 「ルフィさん…!!」 「ルフィ」

 「クハハハ、ついに命乞いを始めたか麦わらのルフィ!!! そりゃそうだ、死ぬのは誰でも恐ェもんさ…」「俺たちがここで死んだら!!! 誰があいつをぶっ飛ばすんだ!!!


 「…………自惚れるなよ、小物が……」

 「…………お前の方が 小物だろ!!!」

悠然と立ち去る”七武海”と牢に囚われたままの”海賊王”、それぞれの格を見せて睨み合う!! 今更言うまでもなく、私自身はクロコダイルが小物だとはツメの先ほども思っちゃーいないんだけど、それを差し置いても彼、いや”奴”を小物と言い切るルフィのこの様は、クロコダイルに負けずとも劣らない”格”を見せつけてるとさえ感じるワケで。片や静けさの中に怒りを含めて睨み、片や全力の怒りを出して睨みつける、この海賊両名。なんとゆーか、ひとつの強い迫力が込められたシーンではないか、と。



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2007/01/24