感想・漫画編。
ONE PIECE 18巻
著者:尾田栄一郎
出版元:ジャンプコミックス
海賊マンガの18巻目。シリーズ最初の大決戦とでも言うべき期待の展開・アラバスタ編がいよいよ本格スタート。 そんなこんなで、偉大なる航路突入早々の13巻からその存在をチラホラと見せ続けていた大ボス、Mr.0こと王下七武海のサー・クロコダイルを筆頭に、彼の部下であるトップオフィサーエージェントの面々といった敵組織・バロックワークス勢、ビビの幼なじみであるリーダー・コーザを筆頭としたクロコダイルに踊らされ国に望まぬ牙を向ける反乱軍勢、麦わらの一味を追いローグタウンからはるばる海を渡ってきたスモーカー大佐率いる海軍勢、この大きな渦中の中心人物であるコブラ国王を筆頭としたアラバスタの人々、そしてバロックワークスの野望・反乱軍の暴動を未然に食い止めるため王女ビビと共に上陸を果たした我らが麦わら海賊団。これら多数・多勢の人物達が、遂にアラバスタという砂漠の国に一堂に会し、激しくもうねりをあげ始めようとする大きなドラマを徐々に徐々に盛り上げようとする、この巻はそんな展開ですなー。ま、ストーリー進展としてはまだ前哨戦にも満たない状況ではあったりもするんですけど、それでもこれだけのキャラクターが集って見せられるドラマ展開には、実にこう、先を期待させるモノがありますねー。 そんな各勢力の中で、個人的に目が行くのは何気にバロックワークス勢、とゆーかクロコダイルその人だったりしまして。いずれ劣らぬ実力者であるオフィサーエージェント達を「不服か?」の一言で従えさせ、ある意味で海賊として(?)アラバスタ王国を”奪う”この作戦をあろう事か「理想郷」と呼び、この強大な悪徳の野望を達成させんとするその表情には不適に過ぎるほどの余裕の笑みさえ浮かべる。おのれの実力と計画、そしてそれらを実行し達成させることに絶対の自信を持ち、それでも過信は無いからこそあらゆる不足の事態に対して迅速に予防措置をとる。この計算高さ、この自信の強さと来たら! 「魅力ある物語を描くためには、それを描くに相応しいだけの魅力を持つ敵役が必要だ」とはよく言われるコトでが、その上で語るならクロコダイル、なんの過不足も無い、まさに圧倒的な大ボスとしてその存在感を存分以上にアピールしてくれてると思います。この強大な悪にどう立ち向かい、この国の行く末をどう導いていくのか。麦わら海賊団のこれからの活躍が、クロコダイルという敵によって俄然楽しみにさせてくれますねー。 さて最後に。この巻で、ルフィの兄貴であるポートガス・D・エースが初登場してくれましたが。彼が初めて”正式に”読者の前に現れた回のサブタイトルは「エース登場」。過去、麦わらの一味に加わる新メンバーが初めて”正式に”登場する回は、いずれも「○○登場」とゆーサブタイトルが付けられている(例:「海賊狩りのゾロ登場」、「ウソップ登場」など)のが本作の特徴だったりします。…ココまで書けば、皆まで言わずともお分かりかと。断言しましょう、エースはやがて必ず麦わら海賊団の船に乗る。コレは”予想”じゃないね、”預言”だと言い切っちゃうね。連載が450話にも達しようとしている現在でもまだ、そのような展開には到っていませんが…さて、エースがルフィ達と再び合流するのは、そしてそのとき彼の身の上に一体何が起きているのか。いつか必ず来るであろうその展開を、私は連載を読んだ当時から楽しみに待ち続けています。
「さァお前らも行け。パーティーの時間に遅れちまう… 「お任せを、社長…!!」 「や――ったるわよーう!!!」 「――楽しんできたまえ」 部下達に最終・最大の指令を下したバロックワークス社長・クロコダイルの余裕! アラバスタ乗っ取りという強大な悪行を「パーティー」と言い、今まさにソレをなさんとする社員達には笑みすら浮かべて「楽しんできたまえ」なんて言葉を贈る。コレを絶対的・圧倒的な敵キャラと呼ばずして、何をそう呼べばよいのか?! もーホント、マジでコイツ悪いヤツなんだけど(笑)、この余裕の表し方にはある種の格好良さを感じずにはいられないってのな。本心では確かに憎らしいほどなんだけど、その姿にはどこか痺れるモノさえある、そんなクロコダイルの存在感を示すこのシーンを。 |