×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。



感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 16巻

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ16巻。トニー・トニー・チョッパーが正式に登場。んで、そのままチョッパーの過去エピソードも収録。出てきて早々、チョッパーがメインと言った収録内容だぁね。

いやー、どアタマにいきなり書いちゃいますけど、泣けるねぇこの巻はよぅ。医学の知識こそ無いカンペキな藪医者(笑)だけど、その胸に秘める心意気だけは世界中のどんな名医よりも強く尊い、チョッパーの育ての父ことDr.ヒルルク、彼の生き様がもう! チョッパー、ドクトリーヌ、そしてドルトンさんそれぞれの描写についてもまた、とても心を揺さぶる物語ですが、やはりこのエピソードではドクターが全てを"持っていって"ますねー。

自身が体験した”奇跡”の素晴らしさ、それを今や”病んで”しまった故郷に住む人々すべてに届けようと、医者としてドラムを救ってみせようと、信念の旗を掲げて奇跡へと挑むドクター。孤独な研究生活の中で出会った、また同様に孤独のなかでしか生きてこれなかった子トナカイ・チョッパー。彼の心を一年の治療生活を通して救い、だけどその絆ゆえ別れざるを得なかった、その悲しすぎる決別。だけどそれでも戻ってきた、ドクターを救うためにキノコを持って帰ってきたチョッパーの優しさ、その気持ちにドクターは確かに救われ、だけどその優しさゆえに人生のカウントダウンは迫ってしまった。ドラムロック頂上でのワポルのあまりにも非情な仕打ち、それでもドクターは病人がいないことに心底安心し、最高の笑顔で人生最期の杯を掲げて笑う――

正直言って、このエピソードほど残酷な物語はそうそう無いとも思うんですよね。知識が無かったせいで結果ドクターの死を早めてしまった、チョッパーの愚かな行い。「腕がなけりゃ誰一人救えやしない」と医者としての現実・真実を突きつけた、ドクトリーヌの悲痛な叫び。おのれに従わない者を死刑にするため卑劣な罠をはった、ワポルの非情な行い。あまりにもあまりな一連の出来事の最後に「これ以上この国の犠牲になるな」と泣いた、ドルトンさんの嘆きと憤り。この物語の結果には、心に深すぎる傷を負ってしまった人があまりにも多すぎます。でも、それでも全ての中心にいた、最期には文字通り跡形もなくその姿を消してしまったDr.ヒルルクその人にとっては、これは悲劇でも何でもない、むしろ素晴らしい人生の幕引きだったんでしょう。だって彼には、自身のすべてを、夢を・信念を受け継いで未来に繋げてくれる”息子”がいたのだから。

最期を前に、彼は問いかけました。人はいつ・・死ぬのか、と。彼は答えました。人に忘れられた時だ、と。誰かの記憶に残り続ける限り、誰かが自分の何かを受け継いでくれる限り、人は未来に”自身”を繋いでいくことができるのだと、そう彼は最期に言いました。肉体は消え去っても、もう自分自身では世界に何も遺せなくなったとしても、誰かがその人のことを忘れないでいる限り、その人はいつまでも”いきて”い続けることができるのだ、と。……これは正直、私自身の人生観そのものでもあったりします。人が生まれ・生き・そして死ぬ。これは決して避けられやしない、残酷で、だけれども平等な世の真理です。でも、その人が居たことを・成したことを・そして成せなかったことを誰かがずっと忘れずにいてくれるのなら、「おもい」が未来にまで繋がれていくなら、その人は居なくなったその先にさえ存在していられる。「からだ」は不滅じゃいられないけれど、「こころ」だけならそれは永遠不滅でいられるかもしれない、そんなのが私の人生観です。フイに思い出したけど、なんかの歌であったなー、「命ある者はやがてその姿を消してしまうけど…」ってフレーズ。まぁとにかく、そんな価値観と同じものを示して見せてくれたからドクターの言葉にも心打たれた…ってだけじゃーないですけど、でもやはり、同じ「おもい」が描かれ、そしてその上で笑って最期を迎えられたドクターの生き様。その姿は天晴れであり、心の底からうらやましくさえ感じてしまうものではあります。やはり男の最期たるもの、「素晴らしい人生だった」と笑って締めくくりたいよなぁ。これもまた、男の野望のひとつでしょうとも。



▽自薦名場面 ― 173〜177ページ

 「やめておけ。お前らにゃあおれは殺せねェよ」  「…なァにぃ!!?」

 「人はいつ・・死ぬと思う…?
  心臓をピストルで撃ち抜かれた時……違う。
  不治の病に犯された時……違う。
  猛毒キノコのスープを飲んだ時……違う!!!

  …人に、忘れられた時さ…!!!

  おれが消えても・・・・・・・おれの夢はかなう。病んだ国民の心もきっと救えるさ…!!
  ――なぜ泣く、ドルトン君」

 「………!! ……国も……! 同じだろうか…」

 「………エッエッ――”受け継ぐ者”が…いりゃあな…

  ――もうすぐここにバケモノがやって来る。おれの息子だ。手を出すな。

  まったく!!!! いい人生だった!!!!

そんなワケで、繰り返しにはなっちまうけどやっぱこの一連のシーンを選ばないとウソになるよなー、と。今回ばかりは、蛇足になるセリフはオール排除の方向で。ちなみに言っておくと、読んでて泣いた場面って実は正確にはココじゃーなかったりして。あと、アニメでもやっぱこの回は泣いたけど、それもまた泣いた箇所はこの場面とも原作で泣いたトコとも違ってたり。まぁとにかくアレだ、この145話は素晴らしい回だっつーコトで。



第17巻>

<第15巻


<<コミックレビュー



2006/10/23