感想・漫画編。
ONE PIECE 14巻
著者:尾田栄一郎
出版元:ジャンプコミックス
海賊マンガの14巻。リトルガーデン編の中盤戦まで。全体的に見たら「バトルの巻」、なんだけど、今回は戦ってるメンツが少ないね。ま、敵の策略にハメられてるってコトの証か。 そんな14巻、状況ゆえ起きたルフィVSドリーに始まり、巨人両名の再決闘、麦わらチームとバロックワークスエージェント集の激突にいたるまで、基本的には戦いメインの展開を見せていますが。あくまでそれは表面上の事、真に描かれているモノは各人物の”誇り”、なのですよね。違う言い方をすれば、”心意気”とでも表せば良いのか。 たとえ罠にかけられて重傷を負っても、おのれの内にある”エルバフの戦士の誇り”ゆえ、決闘に挑む巨人のドリー。その心を真に理解する親友だからこそ、また自らのエルバフの誇りを持って、全力で彼を下したブロギー。誰とも知れぬ者に汚された決闘・すなわち2人の巨人の気高い誇り、その非道を許せないがため敵に立ち向かっていくルフィとウソップ、そしてカルー。 そんな中で最大にその心意気を見せつけてくれるのは、やはりあの漢、麦わら海賊団の「2人目」ことロロノア・ゾロその人ですしょうともサ。卑劣なMr.3の罠にハマり、他の誰もが、巨人のブロギーさんですら絶望に落ちていく中、たったひとりコイツだけは「足斬り落としゃあ死人よりは役に立つ」と言い切りやがった。もうね、凄まじいね、この戦いへの執念っつーのか。負けるくらいなら、一方的になぶり殺されるくらいなら、正真正銘におのれの全てをかけて敵をぶちのめす方を取る。それも、自身の足を斬り落とすような、ほとんど最終手段のような手でも、ためらいなく実行に移そうとする。何より凄まじいのが、それを告げるときの様子はむしろ落ち着いてさえいるってのが。いやー、コイツの持つ心意気は恐ろしいまでに、心底からクルもんがありますな! そして、そんなゾロの決意に促され、本当の”誇り”をいまいちど取り戻したブロギーさんと、いつかに交わしたイガラムの言葉を思い出したビビも、また熱すぎるくらいにアツい決意を見せてくれます。122話は、「死なない覚悟」とはどういう事を言うのか、それをまざまざと思い知らせてくれる回ですねー。このときの3人、まさに「天晴れ」としか表現のしようが無いっ!
▽自薦名場面 ― 98ページ 「う…うそでしょ!? 本気なの!? 両足を失って…どうやって戦うのよ!!!」 「さァな。 勝つつもりだ」 選ぶ回はもはや決定済みとして(笑)、あえてその一部だけ抜き出すならどこかを悩んで、最終的にココ。ナミの意見は至極真っ当、ゾロ自身にしても、算段なんてカケラもあったワケでは無かったハズ。でも、最後に言ったその言葉には砂粒ほどの迷いすら無く、ただただ「勝つつもりだ」という闘志のこもった不敵な笑みがソコにある。そしてそれは、いまはまだ倒れ伏すブロギーとてまったく同じ。見苦しくもあがく者の真の決意とは如何なるものか、それはこの時の2人が知らしめてくれます。 |