感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 8巻

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ第8巻。バラティエ編の終了と、アーロンパーク編の開始。あぁ、コックのサンジがクルーに加わったね。

ひとまずは、バラティエ編のクライマックスってことで、ルフィVS首領ドン・クリークの決着がつけられるワケですが。前巻はチョイと出番(てか、見せ場?)が少なかった我らが主人公、ここではその魅力がフルに発揮させられてます。『東の覇者』の異名を持ち、そのあざなに見合うだけの実力を持つクリークを相手に、「そんなもん知るか」とばかりにカケラも怯まず、真っ正面からゴムゴム技をふるうルフィ。クリークは無数の武器を持って「ここが貴様の墓場だ」と言い放ち、ルフィはソレを真っ向から叩き伏せて「勝手に決めつけるな」とやり返す。圧倒的な自身の武力を確信しながら、それでもなお周到なまでの戦闘を続けるクリーク。敵の武装を分かっていながら、一瞬も怯まずに拳を突き立てるルフィ。

この両者、決して私はクリークが格下であったとは思ってないんですよ。少なくとも、戦闘の真っ最中については。ソレについての”解答”は68ページ以降に集約していて、最強の鎧さえも砕かれて、それでもなお鉄の網を使って「海に落とせばおれの勝ちだ」と言いはなったクリークには、ギリギリまで勝利に執着しようとするある種の根性さえも感じます……、そこでさらに、実際海に落ちたら=あと数秒で負け確定、なのにゴマ粒ほどのためらいさえ見せず最後の大技『ゴムゴムの大槌』でクリークを下したルフィ。これはもう紛れも無く、モンキー・D・ルフィが海賊として首領ドン・クリークを超えた瞬間だったんだと思います。クリークは決して弱いワケでも格が低いワケでもなかった。だがしかし、ルフィはその全てを自らの”信念”でもって上回った。この両者の戦闘は、ただ単にケンカに勝ったのがルフィだったって事ではなく、つまりはそーゆうコトだったんだと思うんですよね。単純な腕っぷしの”勝ち負け”ではない、もっと深い意味合いを持った”戦い”であり”勝敗”である。本作における「海賊同士の戦い」の本当の意味合いが、この対決カードでは描かれていると思います。

そんなこんなでバラティエ編が終了して、次のアーロンパーク編に移ってくワケですが。コッチの新展開は、まだ序盤ってことでそんなに語る部分は無いですなー。ノジコやゲンさんの登場についても、まずは取っかかりと言いますか。合間で少し偉大なる航路グランドラインとか七武海しちぶかいなんかの世界設定の解説もやってるけど、全般的に「とりあえずそーゆー事ですよ」的な部分と言いますか。ま、総じてそんなもん。本格展開は次の巻からだぁね。

ラストに余談。全身に無数の武器を仕込んだ首領ドン・クリークって、もはや戦闘ロボットの様相だと思うのだが如何。槍マシンガンに小型爆弾、毒ガスミサイルに火炎放射器、挙げ句の果てには肩当て合体して大戦槍だいせんそうと来た。ロボだロボ。海賊とか関係ねーよアンタ。



▽自薦名場面 ― 120〜121ページ

 「おいサンジ。カゼ、ひくなよ」

 「……………!!  オーナーゼフ・・・・・・!!!
  ……長い間!!! くそお世話になりました!!!
  この御恩は一生…!!! 忘れません!!!!」

サンジ、出立の場面。今回はずいぶんと”真っ当”に選んでますなー。ま、ココについてはアレコレ言う必要も無いでしょう。あとのページのヨサクじゃないけど、まさに「あっぱれな別れっぷり」だ、と。お見事。まさしくこれぞ名場面。



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2005/09/08