感想・漫画編。

金色こんじきのガッシュ!! 6巻

著者:雷句誠

出版元:少年サンデーコミックス


魔物の子供のバトルマンガの6巻。イギリス編の後半と、シェリー&ブラゴのショートエピソード。(いまのところ)最強呪文の『バオウ・サケルガ』を習得して、あと新キャラではシュナイダーウマゴンが初登場。…こーして並べると盛りだくさんの内容だなぁ。

6巻の見所、まずはジェム&ヨポポのエピソード。これまでも、短編で使い切りのクセに魅力あるキャラクターが多数登場してきた本作ですが。この回もまた、なかなかのクオリティを持ったエピソードですなぁ。大切なジェムパートナーを危険から遠ざけるため、呪文の力に頼れなくても単身敵に立ち向かうヨポポの姿は、まさに本作らしい展開でありキャラ描写だと言えましょう。本質的には心優しく穏やかなヨポポが、戦いを前にしたときにだけ見せる、熱く燃える不屈の闘志! イヤもうホント、目つきが違うものコイツ。そして、そんな気高き”戦士”のために、あくまで助太刀として加勢する清麿&ガッシュの姿もまた、本作らしい展開です。超必殺技とも言える新呪文『バオウ・ザケルガ』すらも、基本的にはギブロスの鎧を砕くためだけに使われ、実際の決着をつけたのはヨポポたちだ、とゆー展開も実にグッド。あくまでもヨポポたちが主役でありながら、ちゃんとガッシュたちの見せ場も用意してある、と。イヤハヤ、この回はやはり面白いです。あ、話は変わるけど、この回のアニメ版は何気に好きだったり。ヨポポの攻撃術の表現が良い(※音が鳴る)んですよねー。

見所その2は、やはりシェリーの過去エピソードですかね。彼女があそこまで必至に戦う理由が、過去に辛いところから救ってくれた親友を取り戻すため、ってのはまぁイイんですが……その辛いコトってのが自殺と来たか。いや〜、重い(笑)。タダ助けてくれたってだけのことなら別にフツーなんだけど、自殺ってのはチョット、色々とキッツいよなー。130ページのシーンなんて、マジで魂の叫びだもんよ。そら命がけで魔物との戦いに挑むわ、と。にしてもブラゴって、なんだかんだ言ってシェリーには微妙にやさしいですよね。表面上の態度こそ厳しく映るけど、倒れたシェリーにマントを掛けて背負ってやったり、基本的には彼女の意見・意志を尊重していたりと、実はちゃんと気遣ってるんですよね。初登場の時も、身を挺して守ったりしてるし。なんだろ、実はコイツってスゲェ照れ屋なんじゃないか?(笑) 本人に指摘したらぶん殴られそうですが。

他の収録分は、フォルゴレの追走劇にウマゴン登場と、まぁギャグ回ってことでさして語るところも無く。本作のギャグは好きだけど、やはりこの巻は上記2つのエピソードが光ってますね。



▽自薦名場面 ― 93〜95ページ

 「もう行くのかい?、清麿!
  さみしいじゃないか。席を用意するぜ。ロンドンのコンサートも見ていけよ」

 「イヤ…コンサートならもう十分見せてもらった」

 「そうか…」

 「フォルゴレ…」

 「ん?」

 「生き残れよ…」

 「………… ああ…。キャンチョメは守り通す! 私は無敵のフォルゴレだぜ」

レビュー本文でああ書いといて、名場面はフォルゴレの回から選んだり。なお、シーン選出としては95ページの1コマ目まで。まぁなんつーか、この「背中」は卑怯だ(断言)  いやホント、このたった2ページのやりとりだけで、なぜフォルゴレが「イタリアの英雄」とまで呼ばれているか、なぜ世界中の老若男女から慕われているのか、そしてキャンチョメとの間にどれほどの絆を宿しているのか、その全てがこのやりとりだけで完全に理解できちまうもの。なんだお前、ギャグキャラのクセにその背中は”有り”か?!(笑) イヤまったく、このシーンには完璧ヤラレたねー。



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2006/03/22