感想・漫画編。

武装錬金ブソウレンキン 6巻

著者:和月伸宏

出版元:ジャンプコミックス


トンデモ兵器バトルマンガの6巻。全体から見たら折り返し地点ですな。LXE編が終了して、1学期も終わりカズキ再殺編が開始。剛太ゴウタを始めとして、戦士長・火渡ヒワタリ千歳チトセなど、新展開らしく新キャラが追加登場。まぁ、ほとんどは敵だっつーのが難ですが(苦笑)

それにしても「再殺編」って、言葉の響きがスゲェなオイ(笑) さりとて、「カズキ遁走編」とかじゃ締まりが無いしなー。ともあれこの巻の最大の難点は、やっぱりこの再殺編のスタート、及びそれに付随する全体的な展開の流れでしょうねー。前巻のLXE編ラストから、まさにノンストップでココまで到ってしまったワケですが…やっぱ5巻のレビューでも書いたとーり、この流れは早すぎるよなぁ。とりわけ個人的に思うところの強いのが、C.ブラボーが敵として対峙する事になってしまった部分。この展開、本編を読み進めてるだけだと、ブラボーがあまりにもアッサリとカズキを見限ってるようにしか見えないから、どーしても「かつての味方が敵として立ちふさがる」とゆー場合によっては強烈に燃える展開に、まるで感情移入ができないんですよねー。少し前まで両者の間にはたしかな絆もあったから、この急転直下に過ぎる流れがあまりにも受け入れがたいとゆーか。特に、私自身ブラボーが、本作のキャラではトップクラスに好きだってのもあるもので、ねー。

たとえばもっとこう、カズキのヴィクター化を食い止めるために、ブラボーが必至になってデータを集めたり戦団を説得しようと試みたり、それら出来る限り全ての事を行って、その上で最悪の決断を取る以外に無いと知り、「ならば自分で始末をつける」と苦渋の選択を彼が取った、そーゆー描写があれば、この展開が心情的に辛いとは感じても気持ちが分からないとまではいかなかったでしょーに。う〜ん…とかく政治的な問題でストーリーをどんどん進めなきゃならなかったって事情もあったから、そんな事を言うのは今更に過ぎるってなモンですが。でもやっぱ、ココの流れだけはなー。そんな中、絶望の宣告を受けてそれでも「諦めない」と、意地でもある意志を貫き通そうとするカズキの様には、強く輝くものが感じられて素晴らしいですケドね。

にしてもさぁ、巻末あたりのカズキと斗貴子さんのやりとり、これハタから見てたらホントに愛の告白以外の何者でもねーよな(笑) 両者の胸の内(特に斗貴子さん側)が、あまりにも熱い思いでもってセリフ喋ってるから、ちゃんと追って読んでる分だと、どっちかっつーと漢同士の誓いと言った方がニュアンス近いようにすら感じられるんですが。まぁなんにせよ、前者で受け取ればあまりにもこっ恥ずかしく、後者で受け取れば主人公とヒロインのやりとりとは思えないとゆー、ものすっごい両極端な場面ではあったり(笑)



▽自薦名場面 ― 109ページ

 「届け… 届けェェ…!

武藤カズキ、魂の叫び。そのとき彼は、果たして誰に・何を届かせたかったのか。それはおそらく、ランスの一撃を当てたいという事じゃなかったのだろう。届かせたかったのはきっと、自分の思い。本当に尊敬し、信頼し、いつかはそのようになりたいと心から思った、頼もしきかつての上官へ。今は敵となってしまった仲間へ。たった3コマの描写ですが、そこに込められたカズキの想いが伝わってくる、このシーンを。



第7巻>

<第5巻


<<コミックレビュー



2006/06/15