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感想・小説編。

小説ツインシグナルVol.1 危険の標的
Where is A-A?

原作:大清水さち 著者:北条風奈

出版元:エニックス

コミックスでの本編は文庫版として再版してくれたけど、小説の方もいっそ再版してくれないものか。…著者も権利も別物だから、さすがにムリかぁ。出てくれたらマジでコッチも買いそろえるんだけどなー。ともかく、マイベストコミックことツインシグナル(以下、TS)の、オリジナルストーリーによる小説版、コチラもまた第1巻からレビューしてきましょー。

原作マンガのTSは、間違いなく私にとって過去人生の3本指に入るマンガ作品なんですけど。この小説版TSもまた、人生3本指に入れておきたい小説作品だったりしまして。そんな作品に対する高評価、「TSが大好き」とゆー基本的嗜好から来る部分も確かにあるんですけど。むしろそうではなく、この小説版TS自体が面白い小説だから本作が好きである、といった面こそが強かったりします。そう、面白いのですよ小説版は!(笑)

そんな小説版TSシリーズ、まず何よりの見所は、キャラクターの言動に原作とほとんどズレが無い、という点。フツーそこいらのノベライズ作品だと、書き手が別人になるためにどうしても、キャライメージの違いってヤツが多かれ少なかれ生じてしまうものですが。本作ではホント、そういうのがゼロに近いほど無いんです。シグナルがシグナルのまま立ち振る舞い、信彦が信彦のままセリフを喋っている、そんな感じ。"小説"という表現媒体の違いから、心理描写などでいくらか誇張されている部分も多少ありますけど、それでもやっぱり、キャラの根っこはまったく同じで描かれているから、違和感はまず皆無。その点から見ると本作、実に優秀なノベライズ作品だと思いますよ、マジで。続けての魅力はやはり、本シリーズの内容そのもの。マンガ本編とはまったく別個の、小説版オリジナルの物語で広げられていくのが本作の特色ですが、そのストーリー自体がなにより面白い。マンガ本編では、ソレはそれとしての一連のストーリーがあるためにどうしても実現できない、番外編としてのシグナル達の活躍、コレが惜しみなく描かれていきます。シリーズの豊富なキャラクター達が集まり、トッカリタウンを中心とした原作での舞台を飛び越えて世界各地で繰り広げていくドラマ、コレがまぁ実に面白い。いっくら私がTSファンだっつっても、話の中身が退屈なんだったらこんなレビューなんて書きませんもの。原作マンガとは別に、小説版は小説版として、本当に面白く本当に好きだからレビューに加わってる・加えておきたいワケです。

んじゃまぁ、1巻の感想を。(シリーズとしても著者としても)まだ最初の小説ってことで、子供読者に合わせたよーな文体なんかが目立ってる感じで、少しばかり"パンチ"に欠けた部分も無きにしもあらず、なのですが。ORACLEオラクルハッキング事件から端を発して、ノンストップでどんどん進んでいくドラマチックな展開や、キャラクターを正確に捉えたうえで描かれる、女性著者ならではの心理描写、そしてなにより、数多くのSF作品に影響を受けて作られたとゆー北条さんの詩的な文章表現は、1巻目からすでに魅力たっぷりに描かれております。読み返してて改めて思ったのが、やっぱオレってこの北条さんの文体そのものが好きなんだなー、ってことでして。いやぁ、ホント好きだわこの小説。マンガでも小説でも私を楽しませてくれるんだから、つくづくTSシリーズは"マイベスト"なんだよなー。

あ、ラストに少し。誤植だなんだ、とアレコレ物議を醸し出した122ページ最後の行。アレ、自分は初見から「独自の表現形態」として読んでいたから、誤植だと騒がれてたのが未だに理解できないんだよなー。ま、確かにページ最後の一行だけ文字がまばらになってちゃあ、オカシイと感じる読者がいても仕方無いだろーけどね。



▽自薦名場面 ― 228〜229ページ

 「なんで、ここまで出来るんだろう」

 泣きそうな声で、シグナルが呟いた。

 「闘ってるのさ」

 (中略)

 「一見なんでもなさそうでも、そこには必ず闘いがある。平和に見えてもな」

 「平和って戦いのないことだろ」

 シグナルの肩をオラトリオが痛いほどの力でつかむ。そらされる紫の瞳が人口宝石の冷たい輝きで光を弾いた。

 「平和ってのは、あるもんじゃない。護るものだ。争いが起こらないように」

兄・オラトリオから弟・シグナルへと教え諭す場面。一体何のために闘うのか、そして平和ということの本当の意味とは何か。このセリフはやはり、絶対に負けられない戦いにつねに身を置くオラトリオだからこそ言える言葉だよなぁ。1巻の時点で名場面は数多くありますが、中でもイチバン気に入ってるのは今回ココです。



第2巻>


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2005/09/12