感想・小説編。
名乗れ! 今こそ大英雄 新ソードワールドRPGリプレイ集10
著者:秋田みやび
出版元:富士見ドラゴンブック
GM 現在NPCである、ラヴェルナとローンダミスに加えて、ノリス、ヤムヤル、クラウス。そしてチビーナ&プチーナがプレイヤーキャラクターとして、加入することになります。 一同 えええっ!?(大動揺) ヒース ラスト直前とはいえ、大盤振る舞いすぎんかそれは。というか、気分はオールスター。お祭りだな、こりゃ(笑)。 36ページより
さあさぁ、長らく続いたシリーズのクライマックスにも相応しく、オーファンの国にマジメに舞い降りた国家の危機を打ち破るべくバンパイアを相手に最終決戦へと挑む様子を描いたこの巻の冒険模様です…が、事ここに至ってもなおへっぽこぶりに衰えを見せないのが、最後の最後まで彼ららしいとゆーかなんとゆーか(笑) ほんっと、冒険者のキャリアとしてはもう十二分の経験を積んでるメンツのハズなんですけどねー。どこまで行っても何やってもこう、1〜2本ほど"抜けた"感じがそのまんまなのが、ラストまで読み続けても変わらぬどーしようもなさであり、また愛嬌であり面白さでもあると言えるのですけど。今回にはスーパーゲストとして、アレクラスト大陸のマジもん有名人であるラヴェルナ&ローンダミスとゆーNPCまで参加してきた次第ですが(※なにせルールブックにその名が登場するほどの人物だからなー)、そんなスペシャルキャラクターである両名すらも、彼らへっぽこ達の冒険に加わったとたんにそのカラーに染まっていくとゆー(笑) まぁあるイミこれも名前借りしてるだけで、あくまでもロール担当者はへっぽこ達のプレイヤー自身ですからねー、そーなっちまうのは仕方ないんですけど。にしたってココまで徹頭徹尾、"らしく"続けられてしまうセッション模様はあるイミ凄い気がします。まーソレもぶっちゃけダメな方向の凄さなんですが。なんで天下の「魔女」ことラヴェルナがピンゾロ失敗を連発してんだよ…9レベルソーサラーなんて実質、存在してるだけで伝説級のキャラなハズなのだが……(なんか遠い目) さてさて。このリプレイシリーズ、最初から最後まで通して確かに言えることは、TRPGというアナログゲームの持つ様々な"面白さ"をキチンと読者に伝えていくという、リプレイ文庫として課せられた役割を間違いなく果たしていたという部分だったんじゃないかと思います。他にも本シリーズの場合、プロジェクトとしては一端休止していたSWリプレイの文庫発刊再始動と、ソレに伴うSW・RPG自体の復興といった役目も担っていたと思われますが、それらの点についてもシッカリ果たすことができていたのがまた凄いトコロで。これらが成し遂げられていたのは当然のこと、本シリーズで描かれるセッション模様が実に楽しかったから。GMとPCらによる会話劇の妙、その中で巻き起こる様々なトラブルに一喜一憂(?)させられるGMの様子、成功も失敗も等しく「楽しい冒険」として受け入れてシナリオを広げていくPCのプレイスタイル、オーファン王国及び周辺各所をちゃんと舞台として使っていくワールドガイド的な要素、最終巻では思わぬハプニングからと言え正真正銘の有名人さえゲストPCとして参加させるに至りましたしね。シリーズが10巻まで続いたことも大きい要因とはいえ、これだけ多岐に渡ってTRPGの色んな要素を取り扱って読ませてくるリプレイ文庫、すなわちお手本的な意味合いを持つ読み物ってのは、そうそう他に例がないんじゃないかと思います。そーゆう様々なお手本要素を取り入れつつ、単純にいち文庫作品として楽しい作品、ソレがこのへっぽこリプレイシリーズだったのでしょう。リプレイとして楽しい、ただの文庫としても楽しい、そんな作品であればこそ、前代未聞の10巻刊行という偉業を達成できたのも頷けるとゆーモノで。
GM また、この先のプレイをすることがあったら……っていうか、ぜひしたいんですけど。その時には、協力してくれます? 一同 もちろん! GM みなさん長い間、本当にありがとうございました(礼)。 てなワケでラストの場面選出はココ、セッション最後のシメの会話。ホント言うと巻頭の見開きカラー挿絵と少し迷ったんだけどね、やっぱ最終回らしい部分を選びたくてコッチを選択。出版作品としてはひとまずコレにて最終回、だけどGMとプレイヤーが集合するならまだ、"この続き"を描く機会はいくらでもあるワケで。「終わり」だけども「完了」ではない、そんなトコもまたTRPGというモノの面白さなのかもね。 |