感想・小説編。

フルメタル・パニック! 戦うボーイ・ミーツ・ガール

著者:賀東招二

出版元:富士見ファンタジア文庫

「やめてよ! シロウトがそんなロボット、動かせるわけないでしょ!?」

叫んだかなめを、梯子の上から宗介そうすけが見下ろした。

「素人……? ―――俺は素人ではない。専門家スペシャリストだ」

207ページ 宗介、かなめの会話シーンより


個人的解釈だけど、ライトノベルってどういった作品でもメジャー・マイナーの区別が付けにくいような気がするんですよね。本屋で新刊がドサッと平積みにでもなってりゃ、まぁいちおうメジャーの判定しても良いんだろうけど、でもやっぱし「コレは有名な小説だ」とハッキリとは言い難い部分があるというか。まー、基本的にアタシゃあんまり小説読むタイプじゃないからなぁ、だからそういう風に感じるんだろか? 読むにしてもライトノベルばっかりだし。…う〜む我ながらオタクな事この上ない。

とにもかくにもフルメタルパニック(以下、フルメタ)ですよ。SFアクションコメディ作品の第1巻、SFアクション側の長編エピソードの回ですよ。ってSF……や、SFには違いないよな、ワケ解らんロボットが戦闘兵器の中心だし。まぁ少なくともミリタリー描写がどーとかはあんまし思わんわな。基本的にソッチ方面の知識が皆無だってのもあるけど、フルメタで書いてることが(”それらしさ”があるのは良いとして)荒唐無稽ばっかりだとはさすがに感じるなぁ、と。そのへん作者の賀東さんもあとがきで言ってるしね。といってもさすがに『寄せ鍋』よばわりはファンとしてもどーかと思うワケですが(笑)

ま、そんな余計な作品分析は捨て置くとして。面白いライトノベルですよ。ホントに。拳銃ドカドカ撃ちまくってロボット兵器がバリバリ暴れまくって息もつかせぬアクションがガンガン描かれる――ってのとはチョイと違うけれど、そうですね、全体のトータルバランスをとても上手いこと創ってる物語だと思います。つってもオレがこの作品に惹かれてる部分って、どっちかというと各キャラクターの描写やその上にあるドラマなんだけどな。しかもワリと泥臭い部分での。さすがにその部分だけが好きなのでもないけれど、やはりこういう、キャラを魅力的に骨太に描く物語は面白いですよ、ええ。

それはそれとして。このシリーズの1巻が出たのが98年秋。いま現在が2004年秋。いまシリーズは終わりに向かって進んでいる真っ最中だけど、いくらなんでもいまの世の中がこんな事態になってるとは作者も夢にも思ってなかったろうて(←遠い目) 北の某国がどうとか地域紛争がどうとかテロがどうとか…いやホント、なんだかなぁ。( ̄▽ ̄;)



▽自薦名場面 ― 271ページ

 「あたしは絶対あきらめないわ」

 彼女は自分の胸に手をあてた。

 「みんなで助かる方法がないなんて、絶対に認めない。なんとかするの。あなたもクルツくんも見捨てずに、ここを抜け出して、キョーコやみんなが待ってる所に帰る。そうして、これからもずっと生きるの。あたしが、選ぶのよ・・・・ ・・・・。文句ある!?」

ヒロイン・かなめの闘うことへの宣言の場面。どんな逆境でも簡単に屈したりしない、彼女の単純なソレとは違う強さが垣間見られるシーン。シリーズを通して読んでいくに、この「諦めない」という事が一種の符丁(?)のように感じられるんだけど…どんな状況・事態のことでも、眼前の何かに対して”たたかう”というヤツが個人的に好きだったりするのです。



短編第1巻>


<<ノベルレビュー


2004/11/15