感想・小説編。

涼宮ハルヒの憤慨

著者:谷川流

出版元:角川スニーカー文庫


荒唐無稽な学園コメディ8巻。今回の短編集は、学年進級前の時期を舞台に取ったエピソード。とは言え、収録してんのは2本だけだから短編と称するのもビミョーな違和感あるけど。前の巻でも言ってるけど、引き続き挿絵のタッチが好きな方向行ってるなー。今巻では特に、カラー見開きの3枚目が好き。瞳の描き方なんかはむしろ簡素になってるんだけど、フシギと丸っこい印象があって好きだなぁ。

ま、短編2本ってコトで順番に。まず『編集長☆一直線』。…思うんだが、当人も自覚してるとーり谷川さんはタイトル命名のセンスが若干欠けている気がする。(←婉曲な表現) 学校を出ようの英語副題は、まぁまぁイイ感じなんだがなー。閑話休題。SOS団による文芸活動が骨子ですけど、それぞれ、まず朝比奈さんの作品は、もうホント、どー評すればよろしいのか(笑) 作中のキョンの述懐じゃーないですが、「政略結婚」やら「天下泰平」といった単語の飛び出す童話ってのも何なんだろーか。や、語感的に正確な表記をするなら「童話(?)」って感じですけど。続けて長門のフシギ短編。キョンは「無題1」と「3」に出てくる少女を同一人物、朝比奈さんをモチーフにしてると言ってますが、私は3はともかく、1のは違う人物じゃないかなーと思うのですよ。まぁなんとなくレベルでの感想ですが。…喜緑きみどりさんのよーな気がするんですよねー。人物相関から考えると朝倉あさくらの方が有り得るのですが、この幽霊少女とじゃ性格違ってるしなぁ。最後にキョンのヤツ、まぁ内容そのものとは無関係なハナシですけど、本シリーズはハッキリ名前付き(とりわけフルネーム)で登場するキャラには意外な出番が用意されてる率が高いとゆー個人解釈があるので、続刊でミヨキチは何かの役割持って再登場するんじゃねーかと思ってたりするワケですが。そーゆー意味で、この仮定・新キャラにはある種の期待があるのですけど…ん、その法則からいくと生徒会長はあまり出番無いのかもしれんなぁ。イヤまぁこの解釈が当たってるかどーか全く分かりませんが。

次、『ワンダリング・シャドウ』。またも法則に当てはめようとするなら、阪中さかなかにはそれほど大きな出番は用意されてないのかなー、と。鶴屋つるやさん同様、せいぜいサブレギュラー程度の立ち位置かと思われ。コチラはメインのルソー事件を置いといて、180ページ前後の内容を読むと作中の時節的なモノも含めて、ひとつのターニングポイントではあるのだなーといった雰囲気があって、キョンじゃないですケドどことなく感慨深いモノを感じてしまいますね。まだシリーズは続いていくけど、その途中に入り込むチョットした一区切りみたいな、その感覚に。実際、次巻は学年上がってのストーリーだったりしてますし。それにしてもだ、ラスト前の猫治療シーン、絵面を想像すると凄まじく胡散臭いったら無ぇな(大笑) 意味があってのカムフラージュとは言え、ナンデスカあの儀式

ところで最後に本格的かつ真剣にどーでもいい話題ですけど。今回出てきた新キャラ各位、生徒会長はともかくミヨキチと阪中に挿絵がまるきり無いのはいかにももったいないですな。まぁ後者は1ページだけ顔出てるけど、アレじゃあ足りないよねぇ。このおかげでそこいら中の2次創作サイトが困ってるのなんの(爆笑)



▽自薦名場面 ― 266ページ

 「何とかするしかないな。長門、できるか?」

 「可能」

いつになく短く選出したね、ルソーの治療を前にしての会話。なんだ、この即答っぷりが確かに、頼もしすぎるほど頼もしい(笑) そりゃあキョンも、毎度悩みながらも長門のチカラに頼るってなもんだわなー。



第9巻>

<第7巻


<<ノベルレビュー



2007/09/27