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感想・小説編。

学校を出よう!6 VAMPIRE SYNDROME

著者:谷川流

出版元:電撃文庫


デタラメ超能力学園コメディの6巻。5巻から引き続きで、第三EMP・ヴァンパイア事件の後編です。この巻の巻頭ショートコミック(カラー挿絵)って、よく考えたら5巻の内容なんだよな。まぁ、あらすじの追加としての扱いなら、前編からひいてくるのが分かりやすくはあるか。つーか、いままであんまり意識してなかったけど、これって一種のコミカライズだよな。

さて、この6巻を境に、シリーズは長らく(レビュー執筆時点で約2年)新刊の登場が無いとゆー状況に入ってしまってるワケですが。改めて読み返すに実際、次の展開に入るにはココでの”キリ”は何気に良かったりする、ってのを気付いてみたり何だったり。物語全体の進行については別に置くとして、登場人物同士の関係構図に関してはいくらか結論(?)が出てるんですよねー。まず目立ったところで行くと、宮野&茉衣子の白黒コンビですか。なんだかんだで結局、茉衣子は宮野への想いに自分から向き合うことを決めちゃった(笑)し、宮野にしても時が来るまでは「彼女と共にある」という意志をハッキリさせたってことで、両者の関係がひとつ明確になってます。つーか本編ラストシーン、ハタから見たら豪快なプロポーズ以外の何者でもないよな。もうひと組あげると、佳由季&真琴のカップルですな。……うん、上の2人は「コンビ」だけど、コッチの2人は「カップル」だなぁ、自分的に。ともあれ。こっちはコッチでハッキリ言葉にはしてないけど、でもコレ以上ないようなカタチでもって、互いの真意が、本当の想いがどこにあるのかを確認しあうまでに至れたし。まぁ何だ、5巻で茉衣子が言ってた「なんのかんの言いながら、あの二人はデキデキだったのです」なる発言は大正解だったワケですか。やー、ヒトを見る目があるなぁ茉衣子ちゃん(←何か違う)

さて、この巻でもうひとつ結論が出たことが、佳由季の春奈に対する意識です。春奈という幽霊だった妹が消えて、第三EMPにいる理由は正確にはもう無くなっている、でもそれに対しての心の整理がつかないから、未だ学園に残る自分の立場や気持ちの行き所に決着もつけられずにいる、とゆーのが彼の状況だったワケで。5巻・118ページにあるとーり、春奈が消えてしまった事・再び失った妹に自分はどう向き合うべきなのか、その迷いがずっと彼を縛り付けていた。そんな迷いに対する解答が、6巻・238ページの「春奈はもういない。でも僕たちはあいつのことを覚えている」、なんじゃないかと思います。守りきれずに消えてしまったことに、ずっと罪悪感に似た感情を覚え続けていた。けれど、そのことを事実として受け止めて、でもそれでも忘れずに居続けることが、自分が取るべき姿なんじゃないか、と。そうした上で、若菜を必要なときまで守り続けることで自分はここに留まればよいのだし、その意識があれば他の誰か(よーするに真琴)の想いにも正しく向き合えるだろうと、彼はやっと実感できたんじゃないでしょうかねー。そーいった各キャラの心の整理っつー部分で、本シリーズはここでひとつの区切りを迎えたし、それゆえに一旦止まってしまう状況にもなっちまったんじゃないか、とも思うのですな。まぁだからってずっと止まっててイイとまでは思わんけどさ。少なくとも、プロの作家なら続きはちゃんと書くべきでしょ、とは思いますよ。いやホント、いつになったら7巻出るスか谷川さん…(溜息)

ところで、かなり難儀な性格ではあるけど、ユキちゃん(愛称)って良い兄さんだと思いますよ、私は。まぁシスコン呼ばわりする読者の見方もワカランでもないですが、少なくとも若菜に対しての「誰か代わりが現れるまでは守ろう」って姿勢は、兄として正しい姿だと思うし、春奈を唐突に失ったせいで感じ続けていた喪失感も、それだけ肉親を大切に思っていたってことなんだし。ましてや彼は思春期の少年だもの、ずっと一緒にいた肉親がいなくなってしまうことの精神的ダメージって、他人が想像する以上にデカいですよ。正直、同じよーな経験がある人間じゃない限り分かんねー類の感情だと思います。とにかくも、家族を大切にするっつー兄貴としての姿は、自分には立派に映りますねー。



▽自薦名場面
 ― 224〜225ページ

 腹立たしいよ、真琴。お前はいつも僕をオモチャにして遊んでいる。

 《遊びに見える?》

 佳由紀を見つめる真琴の目には強い意志の光があった。

 《なら、そういうことにしてもいいのよ。ただの遊びの関係だったことにしましょうか?》

 答えがいるのか? お前は僕よりも僕のことを知っているだろう。僕は自分が解っていない。春奈が消えてからずっとそうなんだ。解るものなら解りたいさ。これからどうするべきか、この学園で何をすればいいのかを。僕はずっと考え続けているんだ。

 ふっと真琴の視線が緩んだ。

 《ここにいてよ》

 真琴のものとは思えないほど柔らかい感覚がその精神波に乗っていた。

 《あたしがそう思うだけじゃ足りない? あなたが存在する理由には不足かしら》

エンディング前の2人の会話(念話?)。いやー…このシーンを最初読んだ時、ものすごく切なく感じたんだよねー。それも、マイナス的な意味では一切無く、むしろポジティブな印象での切なさ。だって、これが他のどっかのキャラなら、それこそ告白シーンのひとつでしかないけれど、真琴とゆー娘さんが言ったならソレでもう、意味合いがデカく違ってくるもの。いままでのアレは実はお互いに冗談抜きだったのか、と。ホントはそんなにも強く彼を求めてたのか、と。たぶん、初めの頃はまだ、からかい混じりだったんだろーけど、きっと4巻の事件以来、本気で側にいてほしいと感じるようになったんだろうなー。ありがちな告白のように見えて、でも「この人物だからこそ」という強い恋が実は描かれている、そんな切なさにあふれた場面です。



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2006/07/17