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感想・漫画編。

屍姫シカバネヒメ 1巻

著者:赤人義一

出版元:ガンガンコミックス

だから言ったのよ・・・・・・・・馬鹿ね・・・、それくらいじゃ『死』に届かない――と。
 わたしも同じ『屍』だから――…

 屍を殺す為だけに用意された不死殺しの屍―――……
 
人はそれわたし達を、畏怖と憐憫れんびんと侮蔑と嘲笑を込めて―――…
 『屍姫』と。そう呼ぶわ」

54〜55ページ マキナのセリフより


勝手な印象だけれど、ガンガン本誌で読み切りが載った作家の本誌連載作って、初出からかなり年月経ってからでないとスタートしないヤツが多いよなぁ。本作なんて、単発読み切り3回もやって、それでよーやくシリーズ連載が始まったくらいだし。話題少しズレるけど、『鋼の錬金術師』の荒川さんも似たよーなモンだからなー。そこまで”熟成”させんでもイイと思うんだけどねぇ。まぁともかく、そんなこんなで個人的には読み切り当時から本格始動が長らく待ち遠しかったマンガ、屍姫のレビューで〜す。

本作のトータル的な面白さを述べると、作中の様々な要素が全体的にとてもバランス良いってトコでまとめられるかなー、と。いわゆる動く死体リビング・デッドである「屍」の描写が醸し出すホラー漫画としてのテイストには、海外ゾンビ映画のようなインパクトある恐さによるパニック性と、ホラー邦画では主流であるジワジワと忍び寄ってくるようなサイレントの怖さによる不気味さとが同居していて、まずココで面白い。そして拳銃やマシンガンでの戦闘が主体となるバトルアクションとしての部分だと、銃弾と血痕がド派手に飛び散りまくる描写が目を惹きますし、たとえ腹を撃ち抜かれ・喉笛をかっ切られ・果てには手足がもぎ取られようとも、死人ゆえに・・・・・怯むことは決してなく、立ちはだかる相手にトドメを刺すまで絶対戦いを止めることがないという、屍VS屍、つまりバケモノ同士のまさに血みどろの戦闘が描かれているのが実に面白い。ココで重要なのが、敵の屍については当然のこと、主役キャラである屍姫のマキナにもそのバケモノ的な戦いの様を一貫して描かれてるのがポイントでして。そこいらのヌルいマンガだったら、主役側はもっとキレイな描かれ方しますよ。ところがドッコイ本作ときたら、下手すりゃ敵よりもマキナの方がよっぽどズタズタのバラバラなすぷらった状態ですからねー。この辺の、ある種の容赦の無さによる徹底されたリビング・デッド描写が、本作のビジュアル面での強い魅力だと思います。

絵的な面の他でも、屍が存在するその世界設定の上で物語られる、生と死とに向き合ってつづられるシナリオも魅力ですねー。悪意ある死を撒き散らす屍達を前に、景世けいせいやオーリら生者はそれぞれにその「死」を想い、同じ死の側の存在であるマキナは同類ゆえにその妄執を許さず戦う。様々な死者と生者が交わることで描かれる死生観による、なかなか骨太なテーマ性を持ったこの物語は、先に進むにつれ面白さが増していきます。そしてラストに、個人的にはココが案外ポイント高いんですけれど、ギャグ要素もまた全体的に面白かったりしてるのが本作の良さでして(笑) こーゆー独自性の強いマンガ作って、良くも悪くも物語を”えがく”ことにパワーが注がれがちになるモンですが、本作はエンターテイメント要素もシッカリ”かく”コトを忘れてないのがイイんですよねー。特にコミックスの各オマケページは、ほぼすべてがギャグ(てかセルフパロ?)とゆー有様ですから。本編ではシッカリとした物語を作る一方で、端々で読者を楽しませることを忘れないってのは、いちマンガとして実に好感が持てる部分。ホラーテイスト、ガンアクション、テーマ性のある物語、そしてエンターテイメントと、全体を構成している要素が実にバランス良く取られた作品、それが屍姫に対する印象であり、なによりの面白さだと感じております。

さって、作品紹介が長くなっちゃったけど、ラストにサッと1巻の感想をば。上で述べたバランス面は、この巻でもそれなりの良さを保ってますけど、でもやっぱもうひとつの物足りなさがあるのも事実かもしれませんなー。特に感じちゃうのが、説明的なセリフ・描写がちょっと目立ってるトコでしょーかね。ま、この辺は独自の設定世界を持つ作品にとっちゃーサガみたいなもんですけど。自分の家=自分の世界 とゆー感覚を持つ子供の死者による話や、実に現代的な自殺サークルから生じた屍達との戦いとかはそれなりに目を惹きますけど、まぁ本格的な面白さはやはり次の2巻からかも。この巻だけだと、出てくる主要キャラも人数少ないですしねー。



▽自薦名場面 ― 189ページ

 自分で足を切って…… 「――くそ…ッ」

 逃がさない…!! 今しか………今しかないんだ……ッ

屍を葬るため、逃げた”獲物”を追う”猟犬”・マキナの姿。ココの何が印象深いって、敵を追いかけるために切られた足をクギで無理やり繋ぎ止めてまで走ろうとする、その凄まじさがもう。屍同士の戦いの凄絶さ、人外の”もの”の有様ってヤツが、このコマでさり気なくも強く描かれてると感じるんだよねー。



第2巻>


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2007/02/15