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感想・漫画編。

惑星ほしのさみだれ 1巻

著者:水上悟志

出版元:ヤングキングコミックス

信じとったで ありがとう
この惑星ほし砕くんは あたしの拳やからじゃ――――!!


その日ぼくは巻きこまれた

忠誠を誓え」  「御意

惑星ほしを砕く物語に
ぼくは彼女の所有物ものになった

53〜54ページ 第3話冒頭より


ちと工夫して、場面(とゆーかページ全体)の雰囲気を再現してみたんだけど…凝りすぎて逆に失敗したクサいか?(苦笑) まぁ上手くいくかはさておき、こーゆう小細工じみたコトするのは好きなんだけどねー。ハナシが変なトコ行ったな、それでは「一地方都市で展開される惑星ほしを砕く物語」惑星ほしのさみだれのレビューをスタートしましょう。

本作の魅力はそーですねぇ、まず大きく上げときたいのはキャラクター描写でしょうな。端的に言ってしまうと本作の登場人物、そのほとんどがどっかかんかアタマのネジがすっ飛んでます。もっと率直に言っちまうと、大概のキャラが狂ってる。この1巻ではまだキャラもさほど揃っていないので少々示しにくいんですけれど、とりあえずメインの2名。主人公である雨宮夕日あまみや ゆうひがまず、自身の中にある破滅願望(…とも正確には違うんだけど、まぁこー表現するのがイチバン近いから)ゆえに、上記のシーン抜粋のようにしてこの「惑星ほしを砕く物語」に"荷担"するようになるという。そしてそしてヒロインである朝日奈あさひなさみだれもまた、「この惑星ほしを愛してるから」という独占欲から、自らの手で地球を破壊して自分の物にするとかなんとか。まぁ彼女にしても本心は若干違う所にあるのが続巻で語られますが、どっちにしたってマトモなアタマで考えるコトじゃないよなコイツらの発言は、と。こうしてどこかしかブッ壊れた人物達が、そのイカレた思想ながらに物語の中で笑って泣いて立ちあがって挫折して足掻いて藻掻いてそうして生きて・戦っていく、その様に物凄くナマの人間らしい姿として描かれていく。明らかなまでに"狂人"、だけれど、だからこそ間違いなく"人間"、そんな風にして作られていく人物ドラマが、この上なく魅力的に読み手へと映ってくるのです。別に、「人間誰しも何処か狂ってる」とかなんとか言う気も無いですけれど、本作を読むとどーにもこの言葉が脳裏を過ぎりますな。

そしてもうひとつの大きな魅力が、作画的な表現の部分でしょうか。人物作画では、時々で描かれる表情、とゆーか主に「」かなー、ソコに引き込まれるような印象の強烈さが。背景作画では、1巻からは40〜41ページのビスケットハンマーに代表されるような、ワンシーンから切り取ったような凄まじいインパクトが。これら作画のパワーを通して進められていく作劇展開が、マンガの持つ至極単純な良さ、画で見せて・読ませていく魅力に満ちていて、ストーリー自体の予想外が連続する展開と相まって、物語にグングン引き込んでくれます。不可思議な舞台設定で紡がれる意外性の高い物語、ソレをビジュアルで見せつける作画力、ソコで活躍する狂人ゆえに人間であるキャラ描写と、「マンガ」というモノの基本的な面白さによってシッカリキッチリ構成された上で、巧みな独自性も確かに併せ持った作品、それが本作に対する大雑把な感想でしょうかねー。

そいでは1巻としての感想。チョイと繰り返しになってしまいますけど、やはり今巻では登場人物の数がそれほどでもないため、人物ドラマとしての魅力に厚みが足りない面は否めませんが、メインキャラである夕日とさみだれ両名の関係性が構築される様子から、指輪の騎士とソレにまつわる様々な物事、そして敵である惑星ほしを滅ぼす魔法使いとソレにまつわる様々な存在、そして何より夕日の狂気であり恐気の根源である"鎖"に関わる背景などなど、物語全体の序章としてさっそく退屈のしない展開になっているのがなかなかのモノ。長編作って1巻目だけだともーひとつ足りないってコトが比較的多いんですけどね、本作はそんなのもまるで無いですなー。ソレでもやはりこの巻はまだまだ開幕直後、本当の"牙が剥かれる"のは次の巻から、といったトコロでしょーかね。



▽自薦名場面 ― 132〜133ページ

 「もしゆーくんがあっちで傷ついて私のもとへ帰ってきたら、
  ゆーくんが壊したいもの、
  あたしが代わりに、
  全部壊してあげる。
  ゆーくんを傷つけたもの全部、
  キレイさっぱり粉々に片付けてあげる

姫・朝日奈さみだれから、騎士・雨宮夕日へ。このシーンはセリフ自体もそうだけど、ソレよりもっと、画の表現が強烈過ぎてもう…! ココは本当に、言葉と画とが合わさってこそのシーンだよなぁ。ともあれ、ひとりの少女であり絶対の魔王でもある、さみだれの底知れ無さが存分に表現された、凄まじいインパクトを秘めた場面です。



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2008/05/26