感想・漫画編。

ONE PIECEワン ピース 45

著者:尾田栄一郎

出版元:ジャンプコミックス


海賊マンガ、第45巻へ進出。通算で約2年の物語となったウォーターセブン編も今巻でエピローグ、色々と"後始末"が描かれ、ルフィ一行の他にも視点は移り様々な世界情勢が明らかにされていきます。と、加えてコミックスのカバー折り込みによると、ここの時点で作品自体も連載10年を向かえたとの事で。レビュー執筆の現時点では連載は12年目の真っ最中、私自身も10代の終わりから現在30歳に至るまでこのマンガを読み続けてきたワケで、ホントに長い付き合いの作品だよなー(感嘆)

さてウォーターセブン編のエピローグ。後始末としてまず解決されたのが麦わら海賊団の船の問題ですが、コレはあるイミ想定の範囲内、フランキーが新しい船を作ってくれることになりましたとさ。ってコレ、各員それぞれがパワーアップを披露したのが先の戦いでしたが、船も代替わりでパワーアップを遂げることになったのねえ。今更気付いたわ。そーなると、都合2年のエピソードは確かに長すぎるけどソレに相応しいだけのアレコレが盛り込まれた内容 にはやはりなっているのですね、今回のシリーズって。新たな船・サウザンドサニー号と共に船大工としてフランキーも仲間になり、当初の目論見とは色々と変わりはしたものの、装いも新たに一行は次なる冒険へ漕ぎ出します。

そんな船造りの間にやってきたのが、あのコビメッポコンビと、そしてルフィの祖父・ガープ中将、さらにようやく明らかになったルフィの父親・革命家ドラゴンの名。ローグタウンで登場したあの男が父親だったってのはまぁ予想の範囲ではありましたが、表紙連載でしか出番の無かったコビメッポとガープ中将とがここでこうして繋がるのは想像の外でしたねぇ。しっかしコビーはホント立派になったモンだなー。こうして元気で強くなった彼を見られたのは嬉しい所ですが、しかし六式体術のひとつまで習得するとかソレさすがに強くなりすぎだろ(笑) まぁあのガープ中将=ルフィを育てた張本人に鍛えてもらってたんなら、デタラメにレベルアップしてるのもワリと納得してしまえますが。てか、この巻の出番だけでそう思わせるあのじいさんの存在感 は大したモンだな… コビメッポとの再会と共に、海軍本部・王下七武海・四皇という三大勢力の"正体"、そしてグランドライン後半の海の呼び名・新世界と、物語全体の後半を前に控えて様々な情報も明らかになりました。

そんな四皇と呼ばれる大海賊2名、白ひげ・ニューゲートと赤髪・シャンクスの会合が挟まれ、作品全体の大きな流れがまたひとつ明らかになります。てゆーかそうか、シャンクスが海賊王ゴールド・ロジャーの船に乗ってた事実が明かされたのもこの巻なのか。ホント新情報公開のオンパレードだなぁこの巻。ふたりの会話シーンでは、シャンクスがロジャーのことを「船長」と呼んでいるのが印象的ですね。船団が解散されて独立し、今や世界に名だたる大海賊にまで成り上がった赤髪のシャンクスですが、彼自身にとっての船長 とは今でも唯一無二、ゴール・D・ロジャーを置いて他にはいないのでしょう。それだけロジャーという男が、シャンクスにとって大きな存在だという事でもあるのでしょうなー。

そんな彼らの会合の原因となった、元・白ひげ海賊団クルー、今や裏切りの逃亡者である黒ひげ マーシャル・D・ティーチと、白ひげ海賊団2番隊隊長・火拳のエースの予告されていた激突もこの巻で開始。まぁ彼らの戦い、特に黒ひげ・ティーチの得体の知れない能力が明かされるのはまた次巻の序盤になりますが、コレを通してこの不気味な実力を誇る男が物語全体のラスボス候補に一挙躍り出た のは大きな注目点。個人的には名前が明かされた頃から微妙にそんな風に思ってはいたんですが、その予感の後押しになるこの対決カードはやはり、物語の幕間ながら見逃せない重要イベントと言えますね。

さて…意図的に後回しにした今巻の重要ポイント、いちどは大喧嘩を繰り広げてまでルフィに背を向け脱退宣言をしたウソップが、紆余曲折を経て船に再び乗るにいたる顛末ですが。なんとゆーか…ぶっちゃけると私個人は当初、ここでウソップが一味に戻らなくても別に構わないと思ってた んですよね。それこそ巨人との会話のように、エルバフあたりでバッタリ再会してまたアレコレあった末にようやく帰ってくる、そんな作劇でも有りだなと思ってたんですよ。150ページ以降のゾロの考えにも同意するモノはあって、一味の中でも誰よりウソップという人物を"買っている"からこそ、何らかの"ケジメ"がつかないのならこのエピソードであえて戻ってくる必要は無いと、連載当時は正直なトコ考えてました。

そんなトコロで下記へ。 ↓ 



▽自薦名場面 ― 164〜165ページ

  ごめ゛――ん!!!!

オーケー、許す!!(大爆笑) や、本心的には爆笑じゃありませんよ、それこそ大感動ですよ。てかもう、最後のサイゴに"これ"とか、ウソップの復帰を認めないワケにいかんでしょう!! 165ページのゾロの一言も小憎らしいよなぁ、本当は誰よりもウソップが戻ってくることを望んでいながら、通すべき仁義こそを優先してああ言ってた、言う他無かった、その板挟みのような心境が1コマで伝わります。新たな船、新たな仲間、そして帰ってくるべき"3人目"の全てが勢揃いして、一味は次なる冒険への航海を始める!



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2010/04/17