感想・漫画編。

D.Gray-manディー・グレイマン 1巻

著者:星野桂

出版元:ジャンプコミックス

千年伯爵せんねんはくしゃく。それが〈製造者〉の呼び名です。
 彼は今、人類終焉しゅうえんのシナリオを演じている。
 ――終わらせるのがエクソシストの役目です」

61ページ AKUMAアクマ破壊後の、アレンのセリフより


なにげなーく前々から、エクソシスト系のマンガが流行ってるから(?)どーせそのうちジャンプでもなんか始まるんだろーなー、なんてぇコトを思っておりましたら、気がつきゃ案の定スタートしやがった「聖職者VS悪魔」のマンガ作品。ではでわ、D.Gray-man(以下、DG)のレビューでーす。

最初に総合的な評価をしますが、なかなか良いマンガですよコレ。前書きに「聖職者VS悪魔のマンガ」と書きましたが、そのへん 悪魔=アクマという兵器 ってコトで一風変わっており、作品設定はそれほどありきたりなモノにおさまってもいませんし。物語部分も、「戦いを通した少年の成長物語」とゆーまっとうな作劇からは(良いイミで)一歩踏み外していて、それなりに読み応えがあるし。そしてなにより、最も注目すべき要素こそ本作の作画。このクオリティーの"絵"で描かれたマンガが週刊連載で読めるって、個人的にはかなりお得だとさえ感じてしまいますよ。以前どこぞの評価で「このマンガは"売れる絵"だ」ってな感想を見ましたが、まさにそのとおり。この絵が世間の評価を浴びるのは、実に真っ当なコトだと思います。こんな売れる絵で、内容もありきたりではなく、読み応えのあるマンガってコトで、いち作品として総合的に「良いマンガ」である、とつくづく思わされるワケですよ。

んでこのマンガ、ある意味ジャンプ作品らしくあり、ある意味らしくないとゆー、ワリと宙ぶらりんな感想を抱くマンガだったりもするんですよねー。まず「ジャンプ作品的である要素」をあげると、やはり派手めなバトル描写につきましょうか。対アクマ武器とゆー実にソレっぽい武器(笑)による豪快なバトルシーンは、まさにジャンプマンガにおける基本。ところが一方ストーリーの中身がまた、主人公・アレンが決して、善あるいは正義一辺倒では無い(そうは見えない)ために、努力・友情・勝利を基礎にするジャンプにはストレートに似合わってるとはいえない感覚。ジャンプのメイン読者である小学生層を、バトル内容では惹きつけながらストーリー内容では引き離しかねないという、本作の方向性。この特色には、作品タイトルのみならず感想の上でも、「白(王道)でも黒(異色)でもない狭間の灰色グレイという印象を受けます。でも、そーゆー意味でも面白いマンガなんですよねー、コレ。

さて、1巻の感想をば。なんつーか、設定解説のための説明的なセリフや描写がかなり多く見受けられるため、正直うっとおしかったり流れの悪さを感じないでもないですねー。とりわけバトル描写は全体的に物足らずだし。とくに1話目とか。アッサリしすぎ。でもまぁ、気にしなければ全然、全体的に見所の高いマンガだってのも実際のトコでして。なによりも、ちょうど物語全体のスタート地点的な場面に着いたところで1巻終了となっているため、読んでてとてもキリが良いです。そういった部分で、コミックスとしても良い作りをしていますねぇ。って、なんか誉めっぱなしですねー。ホントは1巻だけならそんな良くも無いんですけどねー。なんでしょーねー。ねー。



▽自薦名場面 ― 123〜125ページ

 「おやすみなさい。この一撃ですべて葬ります」

 ―――― 十字架ノ墓クロスグレイブ!!!

実に少年マンガらしい、必殺技での決めシーン。見開きページよりもその前の、豪快に左手を振り上げているコマの方が、見た目の迫力で気に入ってたりして。セリフ的に好きなシーンはもっと他で多かったんですが、そこであえて1巻からは、絵的にイチバン好きなこの場面を。



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2005/05/10