感想・電子遊戯編。

やわらかあたま塾

発売元:任天堂

対応ハード:DS

アクションなどで無ければパズルとも違う、本作のジャンルはつまり「脳活性化ソフト」。DSが持つ独自の入力形体があってこそ、こんな、コレまでに聞いたことのないジャンルを確立させるワケです。てなワケで、やわらかあたま塾のレビュー、まったりのったりと行ってみましょ。

…とまぁ、ゲームのレビューに入りますが。なにせ本作、そんな特異なジャンル分けが成されてるコトもあって、いちゲームとして感想を並べるのは案外難しかったりして。なにせこのソフト、基本的に「ステージ進行」だの「攻略」だのといった、通常のゲームにとって当たり前のことがほとんど無いんです。つまりは、最初にゲームを起ち上げたその時点で、すでにゲーム中のすべての要素が遊べる状態になっている。たとえば通常のゲームで普通あること、「これコレここまでゲームが進んだから、今度はコレが遊べるようになりましたよ」みたいなヤツが一切無い。ゲームの進行という要素が無いという、ゲームプレイに対する”気負い”をプレイヤーに与えない手軽さ。コレは裏を返せば、好きに遊んでおけといったような不親切なスタンスとも取れます。この両面性はやはり、本作の2800円とゆー低価格ゆえに実現されうる作り方でしょうね。あと1000円でも高かったら、この作りにはさすがに不満が出ただろうからなー。ワリと絶妙な価格設定って気がしますよ、コレ。

さて、たとえ低価格とはいえ、内容までもがチャチな作りってワケでは無いのが、任天堂タイトルのソツの無さ。ゲーム内容は「脳活性化」の名の通り、いずれもIQテストを思わせる知的問題。言語・記憶・分析・数字・知覚の5ジャンルは、さらにそれぞれ3種類の問題で構成され、ボリュームとしては多くもなければ少なくもないバランスです。いずれの問題も、5秒もあればルールが把握できる簡単さ…ながらも、問題が進めば進むほど難易度が上昇し、ゲームを楽しみながら脳みそがマッサージされていくような実感が、確かに味わえます。1回のストレッチは5分程度で終わるため、何度も繰り返して遊びたくなるところがまた、本作のもつ”お手軽さ”でしょうかね。そしてそして、本作の意外な魅力のひとつが、DSのサラウンド能力を活かした「音」の良さ。コレと言って目立ったところの無いグラフィックとBGMではありますが、サラウンド効果により耳に響きわたる効果音のおかげで、みょーなまでにゲームに没頭させられます。良い結果のためには集中できる方がイイから、実はそーゆう狙いもあるのかもしれませんね。続けて意外な魅力その2、それはズバリ、ゲームの起動ごとに語られるハカリ塾長の語録の数々。きらっきらしたうるんだひとみがチャームポイント(※自称である彼が繰り広げるトークは、ときに時刻に則した朝・昼・晩のあいさつであったり、ときに単なる世間話であったり、ときに郷愁を誘う思い出話であったりと実に多彩。独特のペースで語りかけるハカリ塾長の言葉の数々は、あたまストレッチを前に控えたプレイヤーの胸の奥に、深く静かに残っていきます。てゆーかこのゲーム、このハカリ語録とオープニングテーマ曲を聴くためだけに買ってもイイんじゃないかって気さえしますよ、えぇ(真顔

それでは本作の欠点ですが……このソフト、なにせ価格が価格だから、欠点があってもほとんど見過ごせちゃうんですよねー。確かに全体的な作りの浅さが目立つけれど、価格の安さを前にすれば、ソレも目をつぶれるしなぁ。ま、あえて贅沢を言えば、マイクに対応したあたまストレッチがほしかった、と言ったところでしょうかね。どの問題も、タッチペン仕様のストレッチだけだからなー。そこは確かに残念な部分かも。


といったトコロのやわらかあたま塾。聞いたハナシだとこのソフト、初週の売り上げと第2週の売り上げとがほぼ同じ本数だったそうで。流行り廃りがとにかく早いゲーム売り上げの中では、この流れはかなり珍しいこと。価格を含めたお手軽加減と、購入者から広がったクチコミとの、二重の効果でしょうかね。ともかくも、DSユーザーの皆様にはぜひとも、ハカリ塾長の素敵トークを拝聴していただきたく!(←やっぱソコを推すのか)



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2005/07/16