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感想・電子遊戯編。

Steins;Gateシュタインズ・ゲート

発売元:5pb

対応ハード:Xbox360

――私だ。よくぞコンタクトを取ってくれたな。しかし、君にこの通信経路はまだ教えていなかったと記憶しているが…そうか、"あのルート"を利用したのか。フッ、まったく抜け目ないな、君は。なぁに分かっているさ、君が"あのルート"から私を尋ねたのは"例の件"について、だろう? …あぁ、それくらいの事が分からん私ではないよ。君が私に問うまでなくこの通信手段を活用したこと、"例の件"について語らんとすること、ソレらは全て遠い時間の最果てから決められていた事項――そう、全ては運命石の扉シュタインズゲートの選択なのだからな。では、気を取り直して始めようじゃないか…かの物語、Steins;Gateへの言及を。

念のため1つ訪ねるが…君はまさか「シュタインズゲートの選択」を未だ果たしていない者ではあるまいな? …いやなに、単なる儀礼的な質問だ、気分を害したならば謝ろう。だがもしもそのような人物だったならば、私は早々にこの場から退去することを勧告する。むろん私は、不必要に"真実"を明かすような愚は侵さないつもりだ…だがそれでも、罠を罠とも気付かず足を踏み入れるような、そんな失態をしてしまう人間というのは絶えないものだからな。いみじくも〈彼〉も言っていた、「慎重な行動が求められているのだ」と。…そうか、違うのだな、安心した。改めて謝罪を表明しよう。いかんな私も、どうも疑り深い性格になってしまった…それもこれも"あの忌まわしい事件"以来、私の精神は知らず知らず消耗してしまったらしい…… 慰めの言葉か? 君からそのようなセリフを聞かされるとはな…、いや、ここは素直に感謝するよ。

本題に戻ろうか。私の率直な感想を述べるなら…そうだな、私自身の"選択"は何も間違っていなかったと断言するよ。あぁ、この事については自分でも驚いているくらいさ。普段の私であれば、これを気にはしたとしても実際に触れることはなかっただろうからな。だが今回は違った、私の意識の奥底から渇望する不明の声、それに身を委ねて正解だったとさえ言える。この物語に触れるため費やした述べ55時間の体験は、実に知的好奇心を刺激し、得難い経験を我が胸に刻み込んでくれたよ。――なに? 時間をかけすぎだと? フフ、言ってくれるな、こればかりは私の性分だからな、仕方がないと諦めてもらう他無いさ。ともあれ、早々に意味深い謎を落とす〈彼〉のモノローグから始まり、ひとつひとつ段階を経て途中一挙に転換を見せる事件の様相、そして収束していく時間の最果て、etcetc…… これらに私は大いなる興奮を覚えたことだけは間違いない。特筆すべきはやはり、明確なる起承転結をもって余計な中だるみをほぼ感じさせないその構成にあるかと思う。チャプター毎でしかと区切りを挟みながらも、その直前に急浮上する更なる"転換"が強い吸引力として我らを次へ次へと導くあの手際には…まったく舌を巻く他無いな。あの導きには踊らされていると分かりながらもそう成らざるを得ないものがあった――なぁ、君もそう思うだろう? …やはりな、ソコにある種の口惜しさを覚えつつも…そうさ、快感にも似た"何か"を見出してしまう。やれやれまったく……あぁなに、あざけるつもりで笑ったのでは無いよ、むしろ同じ感想を抱く者がいることに安堵したくらいさ。ましてや君がその一人だというのだからな、つい苦笑をこぼしたのも許してほしい。

加えて特筆する事項といえば…なんだ君もか、やれやれ、今日はめずらしく意見が合致するな、どうしたことだ? そうだ、「フォーントリガーシステム」という独自の構造を外すことはできまい。携帯電話という現代人にとっては手放せないほど身近なモノとなったガジェット、これに対するリアクション――着信に出るか・メールの返信を出すか――を持ってして展開構成への分岐を知らず生み出していく、そのギミックにはつくづく感嘆するばかりだ。なにせ、着信に応える・メールを打つ、これらはあまりにも当たり前すぎる行動だからな、その自然とすら言える行いによって従来的な〈選択〉の代替とするなど、よくぞ作り上げたものだと賞賛を浴びせたくすらなるよ。そう、なにせ自然なのだ、アタマの理屈では選ばされていると理解しながらも、ケータイをどうするか、そこに不自然さが一切感じられない、だからこそ至極ナチュラルにより没頭していける…この作業性の排除は素晴らしいアイディアだと私は褒め称えたくあったな。……なに、君はそこまで誉める気にはなれないかね? いや、取り立てて落胆するほどでも無いよ、むしろ先ほどから意見が合ってばかりの事態に若干の不気味さを感じていたくらいだからな、むしろ安心した。やはり我らは多少すれ違うぐらいの方が丁度良いということだよ、なにせかつては――おっと、昔の話はタブーだったな、この話題は止めにしよう。

ま、誉めてばかりいても仕様があるまい、そうだな、欠点と言える要素を取り上げるなら…やはり、某大型掲示板で用いられる独特の用語が頻繁に使用される劇中の文体ゆえ体験者によっては嫌忌の感情を抱かせかねないという点が大きく取り上げられるべきだろう。私個人はそこに強いてネガティブな印象を抱かなかったのだがな…あぁ、普段の"活動"ではむしろ遠ざけてさえいるが、外部からただ見ているだけなら気に止めるものでもないよ。だがしかし、それはあくまで私の感覚だ、人物によってはあの実に独自性の高い言葉遣い――という形容で正しいか判断しかねるが――を純粋に受け付けない者とて少なくはあるまい。そのような対象には非常に"しきい"の高い内容であると、やはり言わざるを得ないのではないかな? …うむ、確かに言うほどその言語は全体としてウェイトが高いワケでもないのだがな、しかしその全体を楽しむための序章でとりわけ目立っているのは間違いあるまい? ならばやはり問題要素であると私は考えるのだがね。あとはそうだな…これは欠点と言うよりは私の感じる不満点でしかないのだが、「虚像歪曲のコンプレックス」と「自己相似のアンドロギュノス」の作劇は全体の中で若干"浮いた"存在のようにも捉えられてしまった、というところか。いやなに、済まない、全面的に否定する意図はないさ、だからそう噛みつかないでくれたまえ。あくまで私の主観だよ。だがその上でだ、時空の歪みがあまた人物を巻き込み取り囲んでいく"全体"の流れに対し、ミクロ的視点で"個"の出来事として収まっていったという印象が、あれらには多少感じられたのでな。構造的問題や進行上の必要条件として組み込まれていることであるのは理解しているのだがな。だから…そう、あくまでも私個人の不満、として感じられたという話さ。君の気分を害したなら謝罪しよう。…ふむ、何やら今日はどうも私が低頭する事の多い日だな。……なに? あぁ、若干ながら不平を覚えるところだね、普段の我々からはまるで逆じゃないか――おいおい、そのジョークはやや厳しくないか?


携帯電話を〈引き金トリガー〉として進展する作劇構造、円錐あるいは水滴を思わせる形状の道筋を描いて繰り広げられる、壮大であり狭的でさえある物語、無論のこと〈あの男〉や彼の〈助手〉を始めとした登場人物らの"妙"もまた忘れてはならないな、それらが織りなす時間を"超"える意識と想いのサイエンスフィクション…いや、想定科学のADVENTURE、それがSteins;Gateの姿だ。嗚呼、こうして振り返れば私の脳裏にはまた、世界線変動率ダイバージェンス・1.04859での"再会"が色鮮やかに甦ってくるかのようだ。フッ、何を言っている、〈全ての世界線の踏破〉を果たした君なら…分かってくれるのではないか?

さて…長々と語らってきたが、どうやら今日のところはこの辺りでいとまを告げなければならないようだな。…その「まさか」だ、どうやら"機関"の連中がこの通信に目を付け始めたらしい。つくづく忌まわしい連中だよ、我らのささやかな憩いの時間にさえこうして横槍を入れてくるのだからな。あぁ分かっているとも…決して奴らの好きにはさせない、雌伏の時はもうすぐ終わり、反撃の好機はすぐそこに迫っているのだからな。…いや違うな、そうだ、言葉を返すようだが、これもまた運命石の扉シュタインズゲートの選択なのだよ…! それではそろそろ通信を終えよう… なに?、お互いこんな時には心配無用ではなかったかな? 分かっている。幸運を。次に会う時を楽しみにしているよ……エル・プサイ・コングルゥ――



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2009/12/04